表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

約束の指切り

「アメリカ!?」


 恋人のリューガから突然切り出された留学話に、あたしは大きな声を上げた。

 ここはあたしの住んでるアパートの部屋で、あたしはひとり暮らしだから、大きな声を出しても気にすることはない。


「なにそれ、なんで? やだやだ、会えなくなるじゃん!」

「オレだって、ミサと会えなくなるのは嫌だよ。だけど、急に枠が空いて、即決しないと別の奴に取られそうだったんだ」

「だったら行かなきゃいいじゃん! あたしより留学の方が大事なの!?」


 泣きながらぽかぽかと胸を叩いたあたしを、リューガが宥めるように抱き締める。


「ごめんって。でも向こうで良い成績残したら、こっち戻ってきた時、就職で有利になるから。そしたら、ミサと結婚した後、苦労させずに済むだろ。ミサのためでもあるんだよ」

「あたしの、ため?」

「そう。ミサが大事だから、オレはミサに見合う男になりたいの」

「……でも、離れたくない」

「オレもだよ」

「アメリカ女に取られたくない」

「大丈夫だって。オレが浮気なんてするはずないだろ」

「じゃあ、約束してよ」


 言って、あたしはずいとリューガの目の前に小指を立てて見せる。


「指切り。絶対、他の女と寝ないって。留学期間が終わったら、まっすぐあたしのところに帰ってくるって、約束して」


 真剣な顔で言うと、リューガはきょとん、とした後、ふっと優しく笑った。


「なんだ、そんなこと。いいよ」


 リューガはあたしを離すと、キッチンに向かった。

 たまに料理をしてくれるから、どこに何があるかは知っている。迷わず引き出しを開けて、包丁を取り出した。

 そして何でもないように小指に当てて、


 ――とん。


「ほら、これでいい?」


 自分の小指を摘まんで微笑むリューガに、あたしは蕩けるような笑みを浮かべた。


「うんっ!」


 返事をして駆け寄ると、ぎゅっとリューガに抱きつく。


「だからリューガ好きぃ」

「こら、血つくよ」

「止血したげる」


 こんなにあたしを愛してくれる男は、あたしを理解してくれる男は、リューガしかいない。

 だから絶対、他の女になんかやらない。

最後まで読んでいただきありがとうございます。もし気に入っていただけましたら、是非★評価いただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ある意味で、ベタベタのベタでつぬw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ