英雄のアイ
文化圏は、闌れた者達の集合形へと進もうとしている。
都邑の宵宮の為に夢想を与えられた、そして、哀れな幸せが結果として。
邌り蔓延るは獣欲凌ぐ渇望、絆や報酬系の朧を求める欲。この夢想が続けば恐らく、驥足は偸安(非生産的な安らぎ)を求める蒙昧に非難される様になる。
欲に真摯な気儘、魔物の戯事。
彼らの害心は、世界の循環に必要だったであろう善悪の法則に当て嵌まった天稟の一部かもしれない。
憐憫の為に非難を傷付け、是非を無意識に抹殺している。歪で綺麗な好意。
楽園の片隅に触れた尽力の身は、悟りの末の偸安の内に思惟を衰退させた。己を純真にせしめた憐れを、己の好きを否定した者達(客観では無実である者)、に対する攻撃性へと転化させてしまった。元来の優しさは、思惟の衰退と共に溶けて、流れ去った儘に。
勧善懲悪制とは思慮の浅はかな優しさである。
ー荘厳を心感じさす醜悪な命の貪り、きっと循環に必要だったのだ。ー
解らぬ儘に、涙。惑乱を静める為。
英雄もまた、蒙昧であった。
戦友が持ち帰った英雄の眼には、寄生虫が蠢いていた。
そして両親を眺める一双は、魔物の血涙を流した。
ー僅かにでも真理に触れたかった...。
だが、私は啓蒙の末で目を閉じてしまった。
真理の寸前の透明な外殻は背けさせた、私に伝えさせる為に。
私は、魔物もあなた方も、
惑乱の恐怖を静めさせる為に
愛している。ー
元は、ある神父。