表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

ある職人さんとの繋がり

 その後も結局世の中は自由に遊びに出歩けない状態が続いていたため、「とりあえず安いものでいいや」と大手サイトで夫婦茶碗を購入して使っていた。


 ──でも、違う。全然、違う。


 手に持つ感じといい、口に当たる感じといい、重さといい、全てにおいて『失格』だった。


 使いにくい、使いにくいと思いながら使っていたが、私が痺れを切らし、割れた茶碗を購入したお店のサイトを探した。

 今となっては懐かしの個人ホームページのような造りのサイトは、派手に原色が使われていて少々見にくくはあったが、あのお店の器を通信販売で買うことができるようだった。


「もっと早く買えばよかった」


 私は早速、サイトの中に並ぶ二次元の器からご飯用の茶碗をカートに入れた。

 ペアとしては売っていなかったので、サイズ違いでカートに入れようとしたが、なぜかカートに1つしか入らない。新しく入れた器に上書きされてしまうようだ。


 私は、あのお店なら、備考欄に書けば大きさ違いの茶碗を売ってくれそうな気がした。


 備考欄にカートの不具合の件と一緒に、夫婦茶碗として大きさ違いで2つ欲しい旨と、少し前に店舗で買った者です、ということを書いて送信する。


 夜遅い時間だったのにもかかわらず、器を作っている職人さんご本人から返信がきた。


 カートは設定の不具合だったらしく、

「教えていただきありがとうございます!」

と感謝までされた。


 私の要望通り、カートの中身を夫婦茶碗に変更してくれて合計金額を教えてくれる。

 私がカード払いを希望したからか、手間をとらせてしまったように感じたが、そちらも快く対応してくれ、後日、温かみのある優しい茶碗が2つ、届いた。


 しかも、

「いつもありがとうございます。感謝の気持ちとして爪楊枝立てを入れさせていただきましたのでご笑納ください」

という綺麗な字の直筆手紙と、爪楊枝立てが入っていた。


 我が家では爪楊枝立てを使っていないけれど、使わずに持っているのがもったいないくらい愛らしい爪楊枝立て。


 とても嬉しい気持ちになったので、感謝のメールを送った。

 メールには、以前購入した角皿に盛り付けた料理の写真も添付した。


『幻中様のような方の元へ行くことができて、器達も喜んでいることでしょう』なんて洒落た返信が返ってきた。


 機会があれば、使う食器全てをこの職人さんが作ったものに変更したいくらい、私はこのお店との繋がりを強く感じずにはいられない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ