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19 私だけは分かってあげるから

 俺はプリメラの事を思い出しながら、自身の胸中を語っていく。


「あの子はみんなの役に立とうと冒険者パーティーに加わって頑張っていた。……けど、パーティーは壊滅。自分だけ何もできないで一人逃げてきた……。しかも助けに行こうにも村の人々に止められる始末。……俺も分かるんだ。まるで自分だけ疎外されているっていうのかな、そんな気持ちが」

「ミミ久……」


 俺は、かつての日本での自分を思い出していた。

 暗い性格で、自分から前にでる事をなんてなく、誰かのあとについていくばかりで、パシリにも頼りにもされた事なんてほとんどない。

 イジメられなかったと言えば、聞こえはいいけど……。


 話はまた、プリメラへの同情に戻っていく。


「それで、プリメラが村で泣きそうになっているのを見て、日本での俺を思い出して、……ついでしゃばったって訳なんだ」

「そう……」

「まあ、さっきの質問なんだけどさ、力になりたがっているプリメラを置いていったりしたら、それはそれで傷ついてしまうと思ったんだ。また疎外された、自分が弱いせいで……ってな」

「……………………」


 女神は答えない。

 無言がつらい。

 分かっているよ。これが、ただのエゴだってな。


「……もちろん、戦わせるつもりはないし、危険だと思ったらミミックの口の中に避難してもらう。迷惑をかけるつもりはない。悪いけど、分かっもらえないだろうか……?」


 一見、スジが通っているように聞こえるけど……。

 随分と身勝手なヤツだ……と自分に対して思っていた。


 女神の言う通り、女性冒険者たちに預けた方が正解だったんだ。

 なのに俺はそれに逆らって、ここまで連れてきてしまった。

 どんな相手か分からないボスと戦うだろうに、もしかしたら、プリメラを守りきれないかもしれないというのに……。


「うん分かった、いいよ〜っ」

「分かったって……軽っ!」


 あっさりとした承諾。

 俺は思わず、ツッコミを入れてしまった。


「いや本当にいいのか……? だって俺、プリメラを危険にさらして……」

「でも冒険者でしょぉ? 危険な目にあうっていうのは本人も分かっているんじゃなぁい?」

「いやそれはそうだろうけど、でも……」

「ミミ久は悪くないよっ。だってミミ久は、みんなを助けたいっていうプリメラちゃんの意思を尊重したんだからっ。ここは最下層で捕まっている仲間に回復呪文でもかけさせてあげて、お礼を言わせてあげる所でしょ!」

「いや、でも、万が一の事があったら、もし……」

「ダメよぉ、ミミ久。そうやって主題から遠ざけようとしたら、昔のミミ久みたいに疎外感を感じちゃうでしょ!」

「あ……」

「胸を張ってミミ久! じゃないとホラ、ミミックと毛皮がずれちゃうよ?」


 おっと、いけない。

 俺はそそくさと、姿勢を立て直す。

 少しだが、楽になった気分だ。

 こうして自分の胸中を誰かに喋ったからだろうか。


「……もしみんながミミ久を否定しても、……私だけは分かってあげるから」


 ボソッと、聞こえる声。


「ん? 何か言ったか?」

「……ううん、何でもない。それよりも……」


 ふとここで、感じる寒気。


 俺と女神は、毛皮とミミックのスキマから覗いていた。


 眼前に立つのは、重厚そうなトビラ。

 その先でボス戦が始まると思うと……。


 心臓が高鳴ってきた。

 緊張のためか、ツバが乾いている。

 いけない、いったん落ち着かないと……。


「ここ……もしかしてボスの部屋だよな?」

「正解〜。……よく見えてないけど」


 見えてないんかいっ!


 思わず心の中でツッコんでしまう俺だった。

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