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不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期前編
9/204

お属初め_01



『お属初め』の日がとうとうやってきた。


 俺は子供用ベッドに寝かされており、そばには母リアがいる。

 母上は、落ち着かないのか、俺のベッドの脇を行ったり来たり、時には俺を抱き上げたりしている。

 執事のハンスが、叔父の訪問を伝えると「すぐ戻る」と、父上が部屋を出てから大分時間が経っている。

「遅いわね。何かあったのかしら?」と、母上がこぼすと、トントンと扉をノックする音が聞こえた。


「はい。どうぞ」


 母上の返事とともに、扉がゆっくり開き、複数の気配を感じる。


「義姉さん、ご無沙汰しています」

「ヴィリー、元気そうね」

「えぇ、義姉さんも元気そうで安心したよ。相変わらず美しいね」

「ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」

「私は世辞は言わないよ。美しい人に美しいと称しているだけだよ」


 ヴィリバルト叔父さん、初見ですが、侍女情報と大分違いませんか。

 なんだかチャラ男臭がします。

 そして横にいる父上から相当な威圧を感じます。


「兄さん、挨拶だよ」

「わかっている」

「嫉妬深い夫を持つと大変だね、義姉さん」

「うふふ、嬉しいわ」

「リア」

「はいはい。ここでイチャつかないでくださいね」

「わかっている」


 慣れって怖いよね。

 この程度のイチャつきならもうスルーできますよ。

 いつでも二人の世界へ入りますからね。


「それでは、今日の主役君と対面いたしますか」

「ヴィリバルト、優しく扱えよ」

「わかっていますよ。まだ赤ん坊なんだから、丁重に扱いますよ」

「なんだ」

「なるほど。兄さんのことだから、首もすわっていないジークに高い高いとかして、乱雑に扱ったとアンナに怒られたんですね」


 叔父さん正解です! 現場見ていたんですか!

 俺は半分意識が飛んでいたけれど、もうこってりぽってり絞られていましたよ。


「見ていたのか!?」

「兄さん、私は任務で昨日帰国したばかりです」

「わっ、わかっている」

「ギル、ヴィリーには勝てないわ」


 会話しか聞こえない状況だが、なんとなく把握はできる。

 父上、さきほどまで目が泳いでいましたね。母上の参加でこの話が終わったと安堵しましたね。

 ええぇ、えぇーー、まだ二ヶ月の付き合いですが、俺にはわかりますよ。

 叔父は一歩引いて、事の成り行きを静観する。これがアーベル兄弟の日常であると、この数分の会話で察しました。


 視界に細長い影が入る。

 父上とは違う、大きく繊細な手が頬を撫で、俺を抱き上げた。


「はじめまして、ジークベルト。叔父のヴィリバルトだ」


 まだ視力は、顔を詳細に把握できないが、父上と同じ鮮やかな赤は認識できる。


「義姉さんに似ているね。男にしておくのはもったいないね」

「そうだろう」

「うふふ、そうでしょう。私と同じ色の髪に瞳なの。他の子供たちは、ギル、アーベル家の遺伝子を引き継いでしまったから、とても嬉しいわ」

「義姉さんの色は珍しいからね」


 母上と同じ外見で似ているのは、すごく光栄なことだけど、ますます容姿確認したくないなぁ……。

 男にするには勿体ない愛らしい顔立ちってことですよね。

 父上までもが賛同するぐらいだから、生まれてくる性別間違えたかね。

 ただ俺はノーマルなので、女性にはなりませんよ。女装もしませんからね。

 だから母上! 叔父と一緒に女の子の服を検討しない! 「可愛いと思うぞ」って、父上! 賛同しない!

 あぁー。俺が身動きできない赤ん坊だからって、勝手に話を進めないでください。

 泣くぞ! 思いっきり泣くぞ! いいのかっ!

 俺の心の声とは裏腹に大人たちは、楽しそうに会話を続けていた。


「今から君に『鑑定眼』を使うね、特に身体が痛くなるとかはないから安心してね」


 脱線してようやく本題です。

 意外と紳士な叔父。ご丁寧な申告ありがとうございます。

 隠蔽スキルよ、上手くやってくれぇー。マジでなんとかしてくれよ。頼むぞ!

 上手く隠蔽ができていれば、叔父に見えるステータスはこれだ。



 ***********************

 ジークベルト・フォン・アーベル 男 0才

 種族:人間

 職業:侯爵家四男

 Lv:1

 HP:10/10

 MP:10/10

 魔力:50

 攻撃:10

 防御:10

 敏捷:10

 運:200

 魔属性:火・風・土・水・無


 身体スキル:毒耐性Lv5・麻痺耐性Lv4・状態異常耐性Lv3・闇耐性Lv3・呪耐性Lv7

 称号:幸運者

 **********************



 魔属性は、実用を考えて五個。

 本心は、光と闇も加えたかったが『将来全属性所持の可能性あり』なーんて、大騒動になる気配がしたので断念。

 そもそも隠蔽スキルを取得した意味がないしね。


 ステ値は、MPと魔力を隠蔽。

 魔属性が五個も適応されて、魔力が低いのはどうかなぁと思い、平均より上の50にしてみた。

 運値はそのままで、称号から察知してくれるかなぁと期待。

 称号を残した理由は、今後の行動で『最強運』だからと、周りが納得してくれれば重畳。

 加護と特典スキルはすべて隠蔽した。これを隠さずに何を隠すのかとなるよね。

 母胎時に取得した身体スキルだけは、一切隠蔽しませんでした。

 母上が頑張ってくれた証ですしね。





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