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不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期前編
7/204

事前情報_02



 情報を整理します。


 まず、ゲルト。

 兄姉の中で唯一対面したことはないが、俺の兄らしい。

 侍女たちの会話では、特待生で魔術学校に通っており、麒麟児と称されているようだ。

 誕生時の鑑定で何かあったようだが、詳細は不明。大体予想がつくけどね。


 ヴィリバルトは、父の歳の離れた弟で第三魔術団所属の騎士だ。

 魔術に長けており、適応属性も多く、上級属性も複数所持している。

 外見と実績から『赤の魔術師』『赤の貴公子』との二つ名があるようだ。

 未だ独身で、貴族女性からの人気も非常に高く『赤貴公子会』という名の会があるらしい。

 燃えるような赤髪と赤瞳、貴族の中でも一際、端整な顔立ちが、その特徴を更に印象づける。赤のイメージである活発や情熱とは反して、落ち着いた冷静さが意外性と繋がり、人気を高めている。また物腰も柔らかく、洗練された動きが更に人を魅了するようだ。

 侯爵家にはよく滞在しており、兄弟仲はすこぶる良好、お世話に慣れているはずの侍女たちが、漂う色気で一瞬失神するそうだ。


 サンドラは、我が国の第一王女で隣国のディライア王国に正妃として嫁いでいる。

 臨月に入り、近く、第一子が誕生する予定である。王女時代に、赤貴公子会を発足させた一人であり、初代会長だったとの噂もあるらしい。


 全て侍女情報です。

 皆さん、赤ん坊だと油断して、雑談多いんですよね。大変有り難いことです。

 叔父の情報が多いのは察してください。


 問題は叔父ヴィリバルトが『鑑定眼』持ちであると判明したことだ。

 貴族は生後一ヶ月ぐらいに鑑定師を呼んで、魔属性を確認することが習わしである。

 貴族の多くは魔属性を所持しており、適応属性を把握することで、子に初級魔法を覚えさせる。魔力があっても、魔属性を所持していなければ、魔法は使えないのだ。魔属性のない子は、スキル取得を目指し教育転換する。

 この鑑定は近年『お属初め』と呼ばれ、とても重要視されている。

 お属初めの情報に、ヘルプ機能が暴走したのかと焦った。このネームセンスのなさは、さすがにないと思ったからだ。



 **********************


 失礼です。


 **********************



 その後、ヘルプ機能の応答がなくなった。

 悪かったーと、平謝りして、機嫌を直してもらった記憶も新しい。いやもう生命線ですから。謝って許してくれるなら、謝りますよ。


 お属初めの結果は、各家で対応が違う。

 一部の貴族は公表する。特に第一子は、公表する家がほとんどだ。

 家の跡継ぎが魔属性を所持していると証明するためだ。貴族は魔法が使えて当たり前というのが一般論である。

 しかし、魔属性がない子もいる。理由は色々あるが、多くは片親が貴族出身でないことだ。

 その子が第二子以降なら、スキル教育を徹底され体面を保つ。

 第一子は悲惨だ。スキル教育はするが、家の面汚しだと親族中に罵られる。そのためまともに育てられることは少なく、成人までに病死することが多い。少数だが、分け隔てなく立派に育てる家もある。

 だが第二子以降の魔属性を所持した者に家督は譲られる。貴族の家督は長子が継ぐ。男子がいなければ長女が継ぐことになる。

 ただし魔属性がないものは家督が継げない。貴族家にとって魔属性はそれだけ重要なのだ。


 魔属性の属性数は平均1.5であり、属性は遺伝されることが多い。


 通常属性は、火・風・土・水・光・闇・無

 上級属性は、炎・雷・氷・聖・呪


 上級属性は、後天的に取得する者が多い。

 稀に先天的に上級属性を所持している者もいる。その者は、神童・麒麟児と称されることが多い。

 はい、でました麒麟児!

 予想でしかないが、ゲルト兄さんは、先天的に上級属性を所持していると思われる。

 ゲルト兄さんの侍女情報、極端に少ないんですよね。もう少し掘り下げてほしかった。

 情報からもわかるように、全属性所持などありえないのだ。

 俺は、自由きままに普通の生活がしたい。そこで転生祝福の加護から有効なスキルを取得しようと思いつき、隠蔽スキルにたどり着いた。

 転生祝福の加護で取得できるスキルは、Lvでの解放条件がある。

 例えば、鑑定スキルを取得するには、解放条件であるLv10が必要となる。

 隠蔽スキルは、Lv1で取得可能だった。

 助かったと、心底思った。そうそうにスキルポイントから隠蔽スキルを取得する予定にした。

 一般的な鑑定師なら、ある程度の隠蔽Lvで誤魔かしが可能だからだ。

 鑑定師になる人間は少ない。そもそも鑑定スキルの取得は難しく、長けた知識と修練が必要である。

 鑑定Lvにより、確認できる情報がことなるのはもちろんだが、自身のLvより高い相手への鑑定は、鑑定Lvが高くなければ無理である。鑑定師の仕事は、ほぼ『お属初め』の魔属性確認だ。成人を鑑定することはほぼほぼなく、鑑定Lvを上げる難しさから鑑定Lv3が平均的である。


 ちなみに自身のステータスは『ステータス表示』で確認できる。

 ヘルプ機能でこの情報を知った時、崩れ落ちた。実際は崩れ落ちないが、精神的に折れた。

 日々知識を蓄えていた。

 お属初めや鑑定師の情報は、ステータスの魔属性や鑑定眼から掘り下げて掘り下げて掘り下げて掘り下げて……掴んだ。

 ヘルプ機能は鑑定の情報内でしか、応答がない。そのため消費MPが高い鑑定眼を自身に実行し、残りのMPで鑑定を使用していた。

 消費MPを意識しながら、少しでも多くの知識を得るため、取捨選択していたのだ。

 それが、それが! 『ステータス表示』でステータス確認ができるなんて!

 便利だ。だが、その情報なぜすぐにくれなかった。俺の努力、返してくれーーーー。

 半日やさぐれていたが、俺の努力は無駄ではなかった。万能なヘルプ機能でも、魔力を使用していないステータス表示では、ヘルプ機能が使えないことがわかった。



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 精進いたします。


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 だそうです。精進してできるものなのか。


 最近では魔道具が発達し、冒険者ギルドの登録時に簡易版でステータス確認できる物もあるらしい。

 やはり在ったか冒険者ギルド! ゆくゆくはお世話になるつもりである。

 貴族でも兄姉が多い場合は、冒険者になる者も珍しくはない。

 普通は文官や騎士団・魔術団に所属するが、一般からの雇用もあるため、狭き門だ。

 口利きもあるが、すべての貴族の子に対応できるわけもなく、次男以降はそれぞれの道を探す。

 この世界でも、雇用問題はあるんだね。まぁ俺は『世界を見て回りたい』ので、冒険者になる予定だ。





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