表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不運からの最強男  作者: フクフク
ダンジョン編
62/208

初ダンジョン_02



 太陽が沈みかけ、広大な草原がオレンジに染まる。本当にダンジョンにいるのかと、目を疑う景色である。

 十七階層は、洞窟だったので、時間経過がわからなかったが、十八階層の草原は地上と同じで、昼夜が、はっきりとわかる。

 現在、俺たちは、コアンの下級ダンジョン、十八階層の中間地点にいる。


「さて今日は、ここで野営の準備だね」


 叔父が、収納から『魔テント』をだし、野営の準備を始めた。俺もたき火ができるように、草を抜き、小枝を集めながら、自主的にお手伝いをする。

 前世では、活躍の場がなかったサバイバル知識が、少し生かされたのが、地味に嬉しい。不幸体質だったので、キャンプなど、トラブルの原因になりそうなものは、常に回避していた。

 本音を言えば、友人たちと一緒に経験して、遊びたかったが、迷惑はかけられない。だから、本や写真などで知識をえて、行った気分を味わっていた。

 そんな俺を見兼ねた前世の両親が、家の敷地内にテントを張り、疑似体験をさせてくれた。家族みんなで、寝袋に入り、テントに一泊した経験は、前世の俺の行動を変えたきっかけだった。


 パッキンと、小枝が折れた音がして、思考が現実に戻る。

 ああ、またかと、止まっていた手を動かし、たき火の準備を再開する。

 成長とともに、前世の記憶を思い出すことが、多くなった。おそらく実体験が、過去の経験や記憶を思い出させるきっかけになっているのだろう。

 前世の俺は、何をするにも、あきらめの境地にいたので、その分、反動が大きいようだ。


 すっかり日が暮れ、辺り一面、暗闇に覆われる。吸い込まれそうな闇を前に、ダンジョンは甘くなかったと、反省する。数日で帰宅できると、軽い気持ちで挑んだが、コアンの下級ダンジョンは、広大だった。

 一階層辺りの面積の平均が、二千平方キロメートル。十七階層は、洞窟エリアのため、規模は小さかったが、草原エリアは二千平方を超える。その中で、下層に繋がる正しい階段を探さないといけない。階層によっては、階段が複数あり、偽物も存在する。偽の階段を降りると、だいたいの場合は、その階層の初めの位置に戻る。そう振り出しに戻るのだ。しかも『索敵』の範囲が小さいと、全体の把握が難しく、階段の発見さえ困難である。

 広大なダンジョンほど、難易度が上がる。コアンは下級ダンジョンではあるが、踏破した冒険者は少ない。現に今日は、ひと組の冒険者にも会わなかった。

 認識の甘さを再確認した。俺ひとりでダンジョン踏破は、辛うじてできても、数ヶ月はかかる計算だ。本での知識と実体験は、まったく違うのだ。

 だが、心配は無用だ。俺には、チート叔父がいる。叔父の『索敵』は、範囲が広く、階段を間違えることもない。『何階層の階段』と示されるようだ。さすが、チート叔父!

 最短で踏破することはできるが、チート叔父の能力でも、数日での踏破は、難しいようだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ