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不運からの最強男  作者: フクフク
ダンジョン編
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初ダンジョン_01



 王都から西にあるコアン。

 別名『職人の町』『ホワイトタウン』と、呼ばれるこの町は、古くから下級ダンジョンがあり、初級から中級クラスの冒険者たちが、活動拠点としている。また王都からも近く、ダンジョン産の物資が多く流通し、老舗も多く、西の交易拠点としても有名である。

 町の特徴として、建物が、白のレンガ一色で統一されている。そして、亜人が多く住んでいる町でもある。



 巻き込まれ事故で、コアンの下級ダンジョンに、移動した俺たちだが、叔父の様子から、どうも雲行きが怪しいようだ。


「うーん。ダンジョン内に移動するとは……。予め設定されている座標が、暴走程度で狂うのか? そもそも大前提が、間違っているとしたら……。『移動石』の指定場所が、コアンの下級ダンジョンであれば、辻褄は合うが、誰が、何のために、これを用意した……」


 先ほどから、叔父がぶつくさと、ひとり言を話している。考えごとは、口にだすタイプのようだ。

 しばらく様子をみていたが、どうもらちがあかないので、俺が叔父に声をかけた。


「『移動石』の指定場所は、コアンだったのですか?」

「いいや、王都だよ」

「だいぶ座標が、ズレましたね」

「そうだね。魔法が暴走しただけでは、片づけられない事象だね」

「えっ? 魔法って、暴走するんですか⁈」

「もちろん。制御不能となって大暴走したあげく、暴走死亡なんてこともあるから、日々の修練は大事なんだよ、ジーク」

「暴走死亡……。そうならないよう日々、精進します」


 俺の素直な返事に、叔父は頬笑み、頭をポンとさわる。その仕草は、父上と似ている。年が離れていても、やはり兄弟だ。


「さて残念なことに、ダンジョン内では、なぜか移動魔法が使えない。今回の件は、特例のため、カウントはしないで欲しい」

「はい」

「いい返事だね。その移動魔法の代わりが、階層スポットと、呼ばれるものだ。これは各階に設置されているが、いくつか条件がある。まず、移動できるのが、ダンジョン内の階層で、一度でも訪れた階層しか移動できない。例えば、パーティ内の誰かが、十階層まで踏破していたら、その人物と一緒に移動さえすれば、未踏破でも、十階層に移動することはできる。ただし移動の際、その人物に触れていることが、必須なんだよ」

「なるほど」

「私は、コアンの下級ダンジョンは、初めてなのだけれど、ジークもそうだよね?」

「はい。初めてダンジョンに入りました」

「そうだろうね。移動した場所が、下級ダンジョンで助かったね。これが上級だと少々厄介だった。いま私たちがいる階層は十七階。コアンの下級ダンジョンの最下層は確か……。二十五階だったはず。んー…。ダンジョンボスを倒したほうが早いかな?」

「ボスを倒すんですか⁉︎」

「ここのボスは、レッドソードキングだ。ジークでも十分倒せるよ」

「Bランクの魔物ですけど……」


 はい。叔父スパルタです。

 レッドソードキングとは、鎧と剣の魔物だ。

 デュラハンとよく間違えられるが、レッドソードキングは、首があり、体長四メートルの巨体だ。特徴として、兜の中心に赤い石が付いている。この赤い石は、宝石のルビーです。

 お金になる魔物だが、ランクが高くB、Bランクの冒険者パーティで、なんとか倒せる魔物だ。

 それを俺一人だなんて、無理ですからね! チート叔父と一緒にしないでください!


「ジーク、お客さんが来たようだよ。実戦授業をしよう」

「えっ⁈ はい。わかりました」


 前方に、オークが三匹現れる。

 オークは、見た目はイノシシで、耳の横から角が生えている。低ランクの魔物で、俺でも余裕で倒せる。


『灯火』


 精度が上がった『灯火』は、三本の火矢で、オークの眉間に命中し瞬殺する。瞬殺したオークが光ると、その場にオークの肉とオークの角が、ドロップされていた。地上と違い、ダンジョン内で魔物や魔獣を倒した場合、素材がドロップされる仕様なのだ。本の知識で知ってはいたが、初めての光景に興奮する。


 すげぇーー! リアルゲームだよ!

 やっべぇーー、興奮する! テンション上がる!


「オーク三匹じゃ敵にもならないね。うんうん。素晴らしい! 教えがいがあるね! ジークは、火魔法をよく使用するね。他の攻撃魔法は、使えないのかい?」

「いえ、最初に使った攻撃魔法が、火魔法で、熟練度も高いので、つい使ってしまうんです」

「なるほど。では、今日は風魔法の修練をしよう! ジークは『微風』は使えるね?」

「はい! 使えます!」

「では、その上の『疾風』を使おう。ジークの魔力値なら使えるはずだよ。まずは私がお手本をみせるからね」


 先ほどまでの静寂が嘘のように、次々と魔物が、出現する。目の前に、赤色のオークの変異種とオーク四匹が現れた。

 叔父が『疾風』と発すると、瞬く間に風が起こり、赤い角と肉がドロップされていた。


「えっ⁉︎」


 一瞬過ぎて、開いた口が塞がらない。

 魔法の発動は、確認できたけど、オークへの攻撃が、確認できなかった。早業過ぎて、参考にならないよ!

 さきほどまでの興奮はどこへやら、チート叔父の魔法に冷静さを取り戻す。足下に転がるドロップ品をみる。

 一歩間違えれば、俺が、あぁなるんだよね……。ハッハハ……。

 ダンジョン内で人が死ぬと光はしないが、放置すると一時間ほどで吸収され、装備品だけが残るのだ。

 うん。俺、まだ死にたくはないから、慎重に行動しよう。

 チート叔父から、早速学ぶのだった。





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