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不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期前編
6/204

事前情報_01



「リア、体調はどうだ」


 この渋い声は、俺の父、ギルベルト・フォン・アーベル。

 父のステータスは既に『鑑定』で確認済みである。



 ***********************

 ギルベルト・フォン・アーベル 男 37才

 種族:人間

 職業:侯爵、第一騎士団副団長

 Lv:57

 HP:493/493

 MP:135/135

 魔力:145

 攻撃:392

 防御:403

 敏捷:412

 運:102

 魔属性:火・土・炎・雷

 **********************



 侯爵であり、第一騎士団副団長でもある。

 実力は折り紙つき、将来の総帥候補で、近々団長に昇進することが決まっている。

 この情報は、ヘルプ機能からである。

 ヘルプ機能の意思? あれは目下調査中です。まぁ調査という名の放棄ですけどねー。

 それよりも『鑑定』でヘルプ機能が使えたのには驚いた。『鑑定眼』の機能だと思っていたよ。



 **********************


 特例です。


 **********************



 だそうです。

 もう突っ込まない。無駄な努力はしない。


 鑑定の消費MPは5、鑑定眼の消費MP50と比べると、かなり使い勝手がいい。

 このMP差は情報量。鑑定はある程度の情報。鑑定眼はすべての情報と詳細な内容となる。

 ちなみに俺の鑑定のスキルLvは、鑑定Lv10に相当する。上位スキル所持のため、下位スキルは取得可能条件Lvが使えるようだ。

 調子に乗り、視界に入ったもの全てを鑑定した結果、情報がパンクした。

 記憶に自信があっても、これほどの情報量は、さすがに無理だ。

 さてどうするかと思案していたら、ヘルプ機能から救いの手が差し伸べられる。

 鑑定したものは、履歴に保存されるとのことだ。

 はぁーと、思わず感嘆する。死角なしのスキルだと感心していると、これも特例とのことだった。やっぱりね。

 結論としては、鑑定Lv10の情報が確認でき、消費MPも少なく、特例でヘルプ機能が使える鑑定を普段利用することにした。


「ギル、とてもいいわ」


 うふふっと、可愛らしい声が、頭上で響く。

 申告が遅れましたが、俺は幸せの国の中にいます。赤ん坊生活で精神を削られている俺の唯一の癒し時間だが、毎回毎回謀ったように、子煩悩で愛妻家でもある父ギルベルトが訪れる。

 邪魔だとは少しも思ってませんよ。えぇ、本心ですとも。ただこの正確さには驚きますけどね。

 多忙な執務の合間に、抜けてくるようで、執事ハンスに「やはりここでしたか」と、強制連行されるのは日常。


「ジークも元気そうだな」


 父上、今朝もお会いしましたよ。

 アンナが止めているにもかかわらず、俺を抱き上げ、無言で上下に振り、怒られていましたね。

 おそらく、高い高いをしたんだと思いますが、まだ首すわってませんから! 頭がもげて死ぬかと思いました。反省してますか? してますよね?! 身動きができれば即逃亡してますからね!

 ゴツゴツした手が、遠慮がちに頬を撫でる。

 まぁ悪くはない。欲を言えば、その繊細さを今朝だしてほしかった。

 父上は、慎重派らしいが、母上や俺に関しては、たちまち我を忘れるようだ。


 頭上で二つの影が重なる。

 視界見えてません。邪魔もしません。ただ、このダダ漏れの甘い空気は勘弁してほしい。

 夫婦仲が良いのは、もちろんいいことだ。

 念のため、もう一度言う。

 夫婦仲が良いのは、いいことだ。

 だが! だが! だがぁー! 俺のいないところでやってくれーー!

 俺の心の叫びを無視して、両親はとても仲睦まじく、甘々の雰囲気のまま、他愛もない話をする。これも普段通りである。

 そして俺は、両親の会話に耳を傾けるような、無粋な真似はしない。まぁ眠気に勝てないので、物理的にできないんだけどね。

 例の如くうつらうつらし始める。両親の会話は子守り歌で、幸せの国の心地良さが、さらに強固な眠りを誘う。

 気づくと九割八分が、ベッドの上だ。マジ完敗です。


「ジークも安定してきたし、鑑定はどうするの?」

「ゲルトの件で鑑定師は信用できない。ヴィリバルトに頼んでいる」

「そう。ヴィリーなら安心ね」

「あぁ。ヴィリバルトはディライア王国を訪問中だ。帰国後の鑑定となる。早くて一ヶ月後だな」

「サンドラ様のご出産がもうすぐだものね」

「出産後の経過連絡の任務と鑑定も請負っているようだ」

「鑑定眼持ちは大変ね……」

「リアが気にすることではないさ」


 幸せの国に滞在中ですが、今の会話は聞き逃しませんでした。

 完落ち寸前のところで、戻ってきました。

 はい、俺頑張った。





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