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不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期後編
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ハクと魔法_05



 俺がガラス石を見て、一人の世界に耽っているうちに、ハクは魔力循環を成功させていた。


「ガルゥーー!(できたーー!)」

「うん、問題ないね」


 叔父が笑顔で肯定していた。

 ハクは嬉しそうに俺たちの回りを走っている。


 あっ見逃した……。


 俺としたことが、目先の利益にとらわれ、ハクの魔法デビューを見逃してしまった。

 いやまて、魔法はまだ使ってないから、魔法デビューではないはずだ。

 そう自分を納得させて、叔父とハクの会話に集中する。


「次は魔法だね、ハク。魔力循環を高めながら使いたい魔法をイメージして使用してみなさい」

「ガゥ(わかった)」


 ハクは、魔法を試そうとするが、途中で魔力循環を止めてしまう。

 項垂れながら、叔父に訴える。


「ガルゥー(イメージわからない)」


 そうだった。魔獣の赤子は、親の魔法を見て覚える。

 聖獣もおそらく同じではなかろうか。

 人のように、本などで予め知識を備え、想像するのではなく、実戦などで身体に直接覚えさせ、本能で魔法を使用するのではないか。

 叔父もそれに気づいたようで、項垂れているハクの頭を優しく撫でる。


「ハクごめんね。私が間違っていたね。まず私が魔法を使うから見てなさい。雷は危ないから氷魔法かな。ハク見てなさい『雪氷』」


 叔父が、氷魔法の初級の『雪氷』を使う。

 だいぶ手加減をしているようで、数十ほどの小さな氷玉が、パタパタと一メートル先に落ちていく。

 その一つを拾い、ハクに見せる。


「わかるかい? 『雪氷』は雪からできる氷なんだ。このような氷玉になる」

「ガル?(ユキ?)」

「あぁそうだね。雪を知らないんだね。んーー。水蒸気の説明をすると小難しくなるな。んー……。ハク、雨はわかるかい?」

「ガウ!(わかる!)」

「えらいね。雨は空から水が降るね」

「ガウ!(そうだ!)」

「雨が降るように雪も空から降るんだ。雪はね、水ではなく氷の結晶で……そうだ。ハク、これを見なさい」


 叔父はそう言うと、氷玉を短剣で器用に削り、粉雪を作って、ハクに降りそそぐ。

 手作り雪とはおそれいった。

 だが叔父よ。魔法で雪を出せたのではないですかね。

 叔父とハクの会話は続く。なぜか会話が成立しているんですよね。


「これが雪で、空から降ってくる。その雪を固めたものが氷玉だ。わかるかい?」

「ガウ!(わかる!)」

「えらいね。では、そのイメージで『雪氷』を使用してみなさい」

「ガウ!(わかった!)」


 叔父よ。魔獣は見て覚える実戦タイプですよ。

 人のようにイメージでの魔法は、ムチャ振りではないですかね。

 いくら人語を理解している賢いハクでも難しいのでは……。

 俺が心の中でブツブツと呟いていると、ハクの目の前に小粒の氷玉が落ちた。

 なんと『雪氷』が成功している。


 えっ! 成功しているーー! 一発成功!

 おぉーー、今の説明でイメージができていたのか。ハク天才!

 うちの子、かわいいだけじゃなく、天才だった! 


「ガルゥ!(できた!)」

「上手にできたね。この氷玉を敵にめがけて撃つと攻撃できる。ただしそれには魔力制御が必要となるんだ。魔力制御は、魔力循環を上手くできるように修練すれば取得可能だから、当面の目標は氷魔法と魔力制御の取得だね」

「ガゥ(わかった)」


 色々あった叔父との魔法修練を終え、ハクと一緒にベッドに潜る。

 今日は一日がとても長かったと振り返り、ハッとした。

 俺『浄化』使えるんじゃねぇーー!?

 それに気づいたのは、その日の夜になってからだった。






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