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不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期後編
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末の息子_01



 ギルベルトは、自室で酒をあおるように飲み、最愛の妻を想う。


「リア、君との約束を守りきれないかもしれない。ジークベルトは……おそらく……」


 その言葉は闇に包まれ、続くことはなかった。



 数時間前に遡る。

 帰宅後すぐにマリアンネが自室に訪れた。

 珍しいことがある、屋敷内でなにかあったかと思案し、入室の許可をする。


「お父様、マリアンネです」

「入れ」

「お疲れのところ申し訳ございません。ジークのことでお話があります」

「どうかしたのか」

「ジークが、魔獣の赤子を拾って参りました」

「魔獣の赤子? テオバルトは一緒ではなかったのか」

「はい。屋敷から抜け出し『白の森』へ一人で入ったようです。申し訳ございません」

「一人でか……」


 責任を感じているのかマリアンネの態度はひどく萎縮している。

 ギルベルトはマリアンネの頭を優しく一度撫でる。


「マリアンネが、気にすることはない」

「お父様……。お気遣いありがとうございます。ですが屋敷を管理する代理の者として、ジークが屋敷から抜け出したことの責任はあります」

「マリアンネが屋敷を管理してくれて大変助かっている。男の子だ。アルベルトもよく屋敷を抜け出していた。よって今回は不問とする」


 おそらくジークベルトは、屋敷をよく抜け出しているのだろう。

 それをいまさら止めることはできない。

 マリアンネは、ギルベルトの判断に、不服そうな顔を一瞬したが、すぐに正す。

 家長が下した決断である。マリアンネがいくら不服に思っても覆すことはないのだ。

 この件は、もう終了したのだ。


「ありがとうございます。それでジークが連れ帰った魔獣の赤子ですが、屋敷で飼いたいとのことです」

「なんの魔獣だ」

「ブラックキャットの変異種らしく毛は白です。とてもジークに懐いていて、怪我をしたところを助けたとの話でした。私も世話をいたしますので、屋敷で飼ってもよろしいでしょうか」

「あぁ、かまわない。ただし責任を持って世話をするように」

「お父様! ありがとうございます!」


 マリアンネが、両手を組みながら喜ぶ姿に、マリアンネも年頃の娘なのだと改めて思った。

 それとは別に胸中は荒れていた。

 白の森には、ブラックキャットは生息していない。

 これが何を意味しているのか……。

 ジークベルトは、どこへ行き、魔獣と遭遇したのか。





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