表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期後編
41/211

ハク_02



 ハク曰く、天気がよかったので、仲間たちから離れ、お気に入りの場所で昼寝をしていた。

 すると突然、炎魔法で攻撃を受けた。

 お気に入りの場所は、仲間の結界があり、周囲の警戒もせず無防備に寝ていたので、防御態勢をとることもできず、直接攻撃を受けてしまった。

 その威力に、一瞬にして気を失ったとのことだ。


 魔力色が残るほどの攻撃だ。

 おそらく生け捕りにするため、加減をしたはずだ。それができる実力を持ち合せているのだ。

 今の俺では、圧倒的に実力と経験が不足している。

 背筋が冷えた。

 ハクを助けたあの時、冒険者に出くわしていれば、逃げることもできず、完全に負けていた。

 口封じのために殺されていたか……。

 ハクの回復状況をみて有能と判断され、捕縛される。いや奴隷として売られる可能性もある。

 あぁーー。考えもなしに、MPをほぼ使い切った点は、反省だ。

 MP回復薬も、最悪の状況を考えれば、悪目立ちなどとは言っていられない。今後は必ず所持しよう。


 ハクの話に戻る。

 気づいた時には檻に入れられ、首に拘束具をはめられていた。

 檻の中は暗く、ゴトゴトと揺れていた。

 攻撃を受けた傷は、見た目よりもひどくなく、動ける程度には回復していた。

 ここからすぐに逃げないといけない。本能でそう思ったそうだ。

 檻と繋がっている鎖の拘束具を外すため、幾度となく身体を引っ張ると、繋がっていた鎖が切れ、その衝撃で檻の扉が開いた。


 よく見つからなかったねと聞くと、攻撃した男ではない者たちが、何度か様子を見に来ていたそうだ。

 ただ檻の扉が開いた際、外でも何かあったのか、強い揺れに襲われた。その隙に檻から逃げだし、全力で森の奥へ走ったとのことだ。

 逃亡途中に拾った刃物を木の幹の間に挟み、何度も首の拘束具にあてた。

 様子を見に来た男たちが「逃げても場所はわかる」と言っていたそうだ。

 まさか白虎が人語を理解しているとは、想像もつかないのだろう。

 ハクは、その言葉が首の拘束具を示しているのだと理解し、拘束具を外すため、必死に刃物を首へあてた。

 拘束具は丈夫で、なかなか壊れない。最後は、氷魔法で固め、刺したとのことだった。

 ただ必死すぎて、何の氷魔法を使ったかも覚えていないようだ。

 拘束具が外れたことを確認し、その場をすぐに後にした。

 この時には、意識が朦朧としていて、自身がどこを走っているかも分からない状況だった。

 もう走ることはできないと、身を潜めていた所で、俺に出会った。


 この話を聞いた俺は目に涙を浮かべ、ハクに抱きついた。

 状況はどうあれ、突然攻撃を受け、気を失ったのは同じだ。

 あの時の俺は、優秀な家族がそばにいて、すぐに処置をしてくれた。

 死の恐怖は残ったが、適切な対処でトラウマを残すこともなかった。

 だがハクはどうだ。

 傷ついた身体に鞭を打ち、知恵を絞り脱出。追跡の魔道具を外すため、自ら刃物を首に刺す……。

 助けてくれる人もなく、どれだけ怖い思いをしてきたのだろう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ