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不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期前編
22/208

母との日常_01



「ジーク、こっちよ」


 母リアの呼びかけに、ソファをつかみながら、ゆっくりと横へ進む。

 高速ハイハイのおかげか、全身に筋肉がつき、一歳の誕生日前に、つたい歩きができるまでに成長した。

 今は歩行の大特訓中です。

 これが難しいのなんのって。支えなしで立つことはできる。

 けれど、一歩を踏み出すことができない。踏み出そうとするとバランス感覚を失い、尻もちをついてしまうのだ。全身のバランス感覚を鍛えるため、つたい歩きを目下練習中です。

 歩くって大変なことだったのだ。自然にできると勘違いしていたよ。うんうん。

 あっ、立った瞬間を最初に目撃したのは、父上です。

 その時の父上の反応は、すごっかった。


「ジークベルトが立った!」


 某アニメを再現されました。

 そして俺は抱き上げられ、振り回された。三途の川が見えましたよ。今度こそ死ぬかと思った。

 例のごとくアンナに説教された父上だが、興奮さめやらぬまま、母上の部屋へ突撃し、その場で俺に立つことを強要した。


「リア、ジークベルトが立ったんだ! 見てみろ。ほらジークベルト立ちなさい!」


 リクエストにはもちろん答えました。

 母上もすごく喜んでくれたしね。

 だけど父上、赤ん坊ですからね。普通なら理解できずに、その迫力で泣きますよ。

 むちゃぶりにもほどがあります。まじで反省してください。

「ぶーぶーーぶぅ(次はないですからね!)」と立った後、抗議はしてみました。

 父上に伝わっているかどうかは別として、声を出すことは大事です。

 その後、執事ハンスに無事回収され、父上は執務に戻って行きました。


「うふふ、ジーク。ここまでいらっしゃい」

「まーままんまー(母上、あと少しです)」


 声の発生も、なかなか難しい。

 器官がまだ未発達で、口や声帯の使い方に慣れない。あ、う、ま、ぶ、といった言葉しか出ないのだ。

 精神年齢が高い俺からしてみれば、どんな羞恥プレイだ。

 無意識にできていたことが、大変有り難いことだったとつくづく思う。

 この時期の記憶がないだけなんだけど、あれば記憶から抹消したいよね。


 そうそうアンナたち侍女との勝負は、俺が立つことで終わりを迎えた。

 歩行練習の一環として、部屋の中を自由に動いている。

 本棚も近づき放題です。ただ身長が足りず、欲しい本は獲得できないでいる。

 勝負の結果は、一勝したとだけ伝えておこう。敵は強かった……。

 その際に、無属性の初級魔法の本を手に入れた。

 中身が生活魔法だったのには、驚いたけどね。

 そもそも無属性は、個性的な魔法が多い。オリジナル魔法の宝庫なのだ。

 一般的に周知されている無属性の魔法は、生活魔法と空間魔法だ。

 特に生活魔法は、無属性の適応者は、ほぼ取得が可能な便利魔法である。

 一方、空間魔法はその難しさから、すぐに断念する者が多い。





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