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不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期前編
19/211

侍女との攻防戦_01



 こんにちはー。

 現在俺は、高速ハイハイで目的の場所へ向かっています。


 今日こそは! 今日こそは! 本棚に!

 あの宝の山に行くんだ!


 俺の意気込みが伝わっているのか、身体もついてくる。

 高速ハイハイができるようになってからは、さらに行動範囲が増えた。

 ただ外敵はいる。『ガチャ』と扉の音が聞こえた。


 まっまずい! やつが来た!

 逃げろー。身を隠す場所! ねぇーーーー!


「あらあらジークベルト様、またベッドから降りたんですね。元気でなによりです」


 侍女アンナが笑顔で、俺を捕獲する。

「あぁ! あぁぁあうっ」と、腕の中で反抗してみるが、アンナは気にもとめず、ベッドへ降ろす。

 今日も敗北でした。


 子供用ベッドの横が、大きなソファだったため、一度脱出路を確保すれば容易にベッドから降りることが可能となった。

 頻繁に脱出するようになった俺に侍女たちは、ベッドとソファを離すという大暴挙にでた。

 だが俺はあきらめなかった。少々危なくはあるが、赤ん坊の握力の強さを信じ、身体を打ちながらも脱出。

 それを目撃した侍女たちが小さく悲鳴を上げ、次の日には、ベッドが定位置に戻りました。


 ただ自由に動き回れるのが仇となり、侍女の監視の目が強くなった。

 少し動けば「ジークベルト様、ベッドに戻りましょうね」とスタート地点に戻される。

 チッ、優秀な侍女め、もう少し隙を見せなさい。

 本さえ掴めば、離さなければ、確保できると実証済みだ。

 あの本棚には俺が求めてやまない初級魔法の本がぎっしりとあるのだ。

 くっ……。作戦を練り直す必要があるなっ。何とかして侍女たちの裏をかかなければ。



 ある日、ベッドの端に光属性の初級魔法の本が置いてあった。

 母リアが忘れていったようだ。

 姉様用の教材を探しにきた母上は「マリーの光魔法の修練に役立つかしら」と、俺の部屋にある本棚から数冊出していた。

 その一冊だった。しかも初級である。

 このチャンスを逃してたまるものかと慌てて確保しページを開いた。


 久々の本の感触に感動する。

 古本独特の匂いが、鼻孔をくすぐり、この世界でも同じ匂いがするんだなーと感心する。

 んーー。悪くない。


 スキル取得には、ある一定以上の習得がいる。

 魔法の場合、初級魔法を繰り返し行い、スキル取得するのだ。

 光属性の初級魔法は『光明』と『癒し』の二個である。

 無難に『光明』を選択する。


「あら今日はベッドにいらっしゃると思ったら、ご本をお読みだったんですね」


 アンナの声に、はっとする。

 本に集中しすぎて、アンナが部屋に入ってきたことに気づかなかった。

 あっ、あぶねぇー。

 久々の本が嬉しくて周囲の気配を探ることを忘れていた。

 魔法を試す前でよかったー。今後は注意しよう。


「ジークベルト様には、その本は少し難しいですわ。こちらの本と交換しましょうね」


 アンナが絵本と魔法書を交換しようとするが「あぅ」と、強く本を握る。

 この本だけは渡せない。絶対に死守だ。

「まぁ、お気に召しているんですね」と、アンナがあっさりと手を引く。

 あれっ?! 簡単に魔法書が手元に残った。もう少し攻防があるかと思ったが……。

 なるほど。俺が興味を示したものは、危ない物でない限り、取り上げないんだな。

 だとすれば、確保さえできればこちらのものだ!

 先にある本棚を見る。攻略方法を確認して、次の機会を窺おう。

 それよりも今は手元にある魔法書だ。アンナが退出したことを確認して、魔法書に戻る。


『この本は、光属性に適性がある人が、光魔法を取得するためのものです。適性がない人は読むだけ無駄です』


 うわぁーー。冒頭から強烈な言葉が書いてある。

 確かに魔属性がなければ、光魔法は取得できないけれど、無駄とまで書きますか。

 知識ぐらい……。使用できなければ、知識も意味はないか。

 無駄。妥当な言葉かもしれない。

 冒頭から突っ込みつつ、本を読み進める。





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