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不運からの最強男  作者: フクフク
日常編
124/207

称号と到達ボーナス



 んーー。と伸びをして、馴れ親しんだ布団の感触に屋敷へ帰って来たのだと実感する。

 足元で丸くなって寝ているハクと、枕元にいるスラを起こさないよう、そーっと、ベットから降りる。

 部屋内が暗い。外は明るいので起床時間はとうに過ぎているはずだが、カーテンが閉まっている。

 侍女たちの配慮に感謝しつつ、ソファに腰を掛ける。テーブルの上に用意された冷えた水をコップに移し、ゴクゴクと喉の渇きをいやすと、思わずため息が出た。

 昨日は、精神的にも肉体的にも疲れて、倒れるようにベットに身を沈めた。

 その原因を再確認するため「ステータス表示」と唱える。

 表示された内容を見て、夢ではなかったと、項垂れた。


 称号、小さな詐欺師。

 体は子供、中身は大人? 容姿は美少女! なのに性別男。

 生まれた性別間違えているぞ!

 小さな詐欺師……なんちゃって。


 説明文も含めて、突っ込みどころ満載すぎる。

『なんちゃって』とか、説明文にいるの?

 この称号は、隠し部屋の階下の先で取得したのだ。

 そこには、俺の身長の三倍以上はある巨大な生死案内人像があり、全員で協力してガラポンを回した結果、各々に不名誉な称号がついたのだ。


 小さな詐欺師

 隠れブラコン

 金髪の筋肉馬鹿

 究極のドジっ子

 偽りの王女

 最強モフモフ

 食い意地の塊


 誰がどの称号を付与されたのか、だいたいの見当はつくと思う。

 称号名はあれだが、すべての称号に多少なりとも効果が付与されていた。

 だけど、一部を除けば、人には知られたくない称号ではある。


 小さな詐欺師の効果は、能力などで見た目と大きく違いがあっても、疑問を持たれないそうだ。

 裏迷宮の主って、ほんと性格悪いけど、この称号は今の俺にピッタリだ。

 子供の間だけの限定称号なのかどうかは、ヘルプ機能でもわからないそうだ。

 ハクとスラもそれぞれ称号をえた。

 ハクは『最強モフモフ』、スラは『食い意地の塊』だ。

 ハクの『最強モフモフ』は、触れ合うことで、ハクの好感度が少し上がり、癒されるそうだ。

 スラの『食い意地の塊』は、味覚が少し上がる効果があるようだ。

 絶妙なネーミングセンスだと思う。

 個体を認識して、称号名つけている。

 手の込んだ悪戯だけど、効果も悪いものではないんだよね。微妙なんだけどね。

 ただこれは、裏迷宮の到達ボーナスではなかった。

 ヘルプ機能の調査で、いろいろあったが本物の到達ボーナスを俺たちは取得できた。

 俺とハクは『獲得経験値倍増Lv-のスキル玉』を獲得した。

 スラは『守護のアミュレット』を獲得したが、俺に譲渡してくれた。

 食べ物、オークの肉以外は、興味がないようで、かなり雑な扱いだった。

 その性能はとてもいいものなんだけどね。


 **********************

 守護のアミュレット

 効果:呪を10%の確率で回避

 説明:呪魔法の状態異常を10%の確率で回避する。

 **********************


 代わりにスラには、オークの肉塩胡椒味を献上したよ。

 もちろん、ハクにもあげたよ。


 ニコライは『魔法腕輪』、テオ兄さんは『隠密のスキル玉』を獲得した。

『隠蔽マント』を獲得したディアーナが、めずらしく戸惑った表情を見せた。

 隠蔽マントをじっと見つめ、なにかを呟いていたが、その声は俺には聞こえなかった。

 なにかあれば、ディアーナから話してくれるだろう。

 そしてエマは期待を裏切らない。

『黄金のタワシ』を獲得した。

 エマは、黄金のタワシを持って、飛び跳ねて喜んでいた。

 またタワシで落ち込むかとも思ったが、思いの外、本人が喜んでいた。

 全てが金なので相当な価値があるのだ。

 一般人から考えれば、かなりの収入だ。これほど喜んでもおかしくない。

 はて、お給金少ないのだろうか……と、余計な心配をすると『滅相もございません。アーベル家の給金は、他家と比べても格段に高いです』と、ここにはいないはずのアンナの声が聞こえた気がした。

 裏迷宮の到達ボーナスは、満足いく品だったが、それまでの経緯がさんざんだった。

 プラマイゼロ? いや精神的苦痛に加え、肉体的苦痛も考えれば、マイナス?

 裏迷宮踏破するたびに、不名誉な称号を獲得することも考えれば、ダブルでのマイナスだった。

 裏迷宮の踏破に喜ぶどころか、心に打撃を残し『アン・フェンガーの迷宮』をあとにしたのだった。



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