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不運からの最強男  作者: フクフク
幼少期前編
11/208

お属初め_03



 サクッと反省したところで、兄ゲルトの件だ。

 兄ゲルトは、属性鑑定の結果、騒動に巻き込まれて、父・母が守りきれなかった。そこに魔術省が関わっている。

 侍女情報の特待生で魔術学校に所属している件が、これに繋がっているのだろう。

 ゲルト兄さんに未だ会えない理由もここだな。

 なんとなくだが、俺は騒動に巻き込まれない気がする。祖父の対応もそうだが、最強運が良いように作用しそうだ。


 で、俺が注目したいのが『魔法都市国家リンネ』だ。

 情報が遠い場所とだけだが、名前の通り魔法に精通しているのだろう。

 魔道具なども多く作製していそうだな。

 行くのが楽しみだ!


 魔法と言えば、叔父の『守り』の魔法だ。

 この世界の魔法は、大雑把に言えばイメージ。

 同じ魔法名でも多種あり、その効果は色々だ。

 例えば『癒し』なら、麻痺や毒など状態異常の完治も、怪我などの緩和や全快も同じ名前である。

 術者のイメージによって、魔法は行使され、効力は魔法Lvと魔力による。

 怪我の全快をイメージして『癒し』を行使しても、術者の魔法Lvや魔力が低ければ、怪我の緩和になるんだそうだ。

 叔父の『守り』は、魔法を阻害するものだ。まぁ他にも使えるんだと思う。


 ということで叔父を鑑定してみよう!

 興味本位だが、叔父のスキル等はすごそうなので、鑑定眼を使用する。

 叔父に『鑑定眼』と念じる。


「ん?」

「どうした? ヴィリバルト」

「今、魔力が動いた」


 魔力を感じるんですか、叔父様!

 やばい。見えてないが、叔父が俺をすごく見ている気がする。

 叔父こわいです。

 こわい。こわい。こわい。この人こわい。

 赤ん坊になってから、感情の起伏が激しい。

 少しでも、不安などを感じると、泣きたくなる。いや泣く。

 赤ん坊の防衛機能だ。もう制御不能です。


「ぅうっうぎゃあぁーーうんぎゃーあぁーーーー」

「あらあら、ジークがこんなに泣くなんて珍しいわね」


 幸せの国が迎えにきましたが、中々落ち着きません。

 一旦、泣き出すと満足するまで泣き続けます。


「あぁーー、失敗した。嫌われたかな」

「お前がこわい顔してジークを見るからだろ」

「魔力の痕跡を探っていたんですよ。ジークの周辺に散らばっていたのでね」

「わかったのか」

「はい。犯人は扉の向こうにいます」


 叔父が言葉を発した後『ガチャ』と扉が開く音がした。


「マリアンネ! テオバルト!」

「お「父様、ごめんなさい」」

「テオ、『報告』の魔法を使ったね」

「ヴィリー叔父様、私がお願いしたの。ごめんなさい」

「マリー姉様は悪くない。僕が勝手に使ったんだ」


 少し落ち着きました。

 姉さん、兄さんナイスです。

 助かった。まじで助かりました。

 俺の『鑑定眼』と、テオ兄さんの『報告』が、同時期に使用されたのだと考える。

 まさか叔父が、魔力を感知するなんて、想像していなかった。

 しかも使用した魔法を特定できるとは、驚きだ。

 鑑定眼を使用したの……バレてないよね。スキルだからバレてないよね。


「マリー、テオ、怒っているわけではないんだよ。『報告』の魔法を使った理由を教えてくれるかな?」

「ヴィリー叔父さんごめんなさい。ゲルトと同じようなことだけは、ジークには絶対させたくなかったんだ。ゲルトは、五歳で強制的に魔術学校に入学した。入学年齢を満たしていないのに特例だと、父様たちが邪魔できないよう公表までして。しかも優秀な魔術師の育成のためと入寮を促し、屋敷にはほとんど帰さない。今は喜んで勉強や研究をしているけど、当時は母様に会いたいってよく泣いていたんだ。ただ上級属性の雷を所持しただけで、家族と離されて、孤立させるなんて、可哀想だ。だから僕、悪いことだと分かっていたけど『報告』を使って、ジークの属性を確認したかった」

「お父様は魔属性を公表しないとおっしゃっていたわ。でも先生方が大変期待されていたの。また魔術学校に特待生が現れるんじゃないかと。強制的に鑑定師を派遣する可能性も示唆していたの。だから鑑定結果を聞いて、もし上級属性を所持していたら、お父様を説得しようと話しあったの。でもアル兄様はその必要はないと賛成してくれなかった。お父様たちが、守るから大丈夫だと。私でも心配で」

「二人ともジークを心配してくれたのね、嬉しいわ。でも大丈夫よ。お父様やヴィリーが必ず守ってくれるわ。だから安心してね」

「お「母様、ごめんなさい」」


 兄さんっ! 姉さんっ!

 感激して言葉がでない。ありがとう!

 今世もいい家族に囲まれて、俺はすごく幸せです。


「――ということですよ、兄さん」

「うむ」

「子供たちは、ずいぶん優しく成長したね」

「あぁそうだろう。自慢の子供たちだ」

「だけど、それとこれは別よ」

「義姉さん、いいのですか子供たちをほうっておいて」

「今はジークに夢中だからいいの。あの子たちには罰が必要よ」

「リア」

「ダメよ、ギル。優しさをはき違えたら。あの子たちはまだ子供。大人に守ってもらう必要があるの。ゲルトのことは、私たち大人の失態よ。子供たちに心配させたことは反省しなければならないわ。だけど、あの子たちが、大人の話に首を突っ込んだことは別よ。いつでもいい話で終わるとは限らないわ。恐いこともあると教えなければならないの」

「義姉さんに賛成! その役目、私に任せてくれないかい? もちろん無理はさせないけど、二度と同じことはしないと後悔させるよ」

「あら? どういった内容かしら」


 大人たちが、着々と罰計画を立てているのを、兄さんたちはまだ知らない。






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