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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

渇き

作者: ぐいんだー

登場人物 

高校2年 日笠ひさか ゆい 

髪型 少しパーマがかかった黒ロング 身長153cm

高校2年 最上もがみ あおい 

髪型 茶髪のショートカット     身長164cm

 高校に入って彼氏が自然とできるなんて先輩から聞かされていたがそんなのは幻想だと薄々感づき始めた。意味もなく放課後することもないのか私の家に入り浸っている友達はベッドの上でごろごろ飽きずにずっと漫画を読んでいる。


「ねえ葵、暇」


「んー」


だらーんとショートカットの髪をかき上げながら漫画を読みふけっている。


「どっか行こうよ」


「おー」


さっきから気のない返事ばっかだ。退屈して脳が働かなくなる前にイタズラを仕掛けようと画策する。


「飲み物取ってくるけどなんか飲みたいのある?」


「あー」


この様子なら多分私が1階で何かしていても気付くことはないだろう。しめしめと思い私は階段を降り、ダイニングにある冷蔵庫を開ける。中には烏龍茶、牛乳にオレンジの他に父がたまに飲むウイスキーがある。

 お酒を盛って酔っ払う葵なんて面白いんじゃないかと思った私は迷わず烏龍茶とウイスキーをコップに注いだ。一気飲みでもしてくれないと多分酔わない、お酒は飲んだことが無いので分からないが恐らくそうだろう。何か辛いものを用意したいところだが生憎、家にはそんなものは無いので私の烏龍茶にタバスコをドボドボと投入した。

 私はトレーに烏龍茶を乗せ、階段を上った。扉を開くと相も変わらずさっきと変わらない体制で漫画を読んでいる。


「烏龍茶持ってきたよ」


タバスコを入れた烏龍茶を葵の方に置く。


「苦しゅうない」


のっそりと起き上がった葵は烏龍茶を手に取った。じっと見ていると訝しげな顔で私のことを見てきた。


「なんで見てんの?」


「いや別に」


ニヤけるのを抑え私も烏龍茶を飲むふりをした。疑うような眼差しを飛ばしながらも葵はごくりと飲んだ。するとみるみる赤くなり涙を目に溜めむせ返った。


「何これゲッホゲホ、かっら!ちょっと何入れたのこれ!」


「タバスコ」


「ふっざけんな!ゲッホゲホ」


ゲホゲホ煩い葵に私は自分の烏龍茶を差し出す。大丈夫だよな?と確認され頷くと恐る恐るだが異物が入ってないことを確認すると、味を気にする余裕なく全て飲みきった。


「結、次やったら許さないからね」


「ごめんって、もうやらないよ」


プリプリと怒って私のベッドに戻り漫画を読み始めた。少し様子を伺っていると漫画本から目を離しベッドの上に立ち上がって私を見下ろした。


「え、どうしたの」


「なんか熱い」


ベッドから降りてコップの縁をくるくるなぞり始めた。酔いが回ったのかおかしな行動を取り始めた。これは面白い。そう思い私は酔い始めた彼女に少しちょっかいを出してみたくなった。


「今からスピードしない? トランプのやつ」


「はあ? まあいいけどさ」


 引き出しからシンプルなチェック柄のトランプを取り出す。安物っぽい見た目のケースからトランプを出して配ろうとすると、「シャッフルしろ」と言われた。目聡いのか酔っていてもカードを混ぜないことに不満を持ち出した。普段シャッフルなんてしないものでカードをたまにポロポロと落としてしまう。


「何?不器用なのよ私、文句ある?」


「いやまあ、そうだな」


 シラフに戻っているのかと勘違いするくらい冷めた声を出されたものだから私は再度ウイスキー入り烏龍茶を下から持ってきて飲ませる。「こんなに飲むのは流石に…つか本当にこれ酔うぞ…」なんてぶつくさ何か言っているが気にせず無理やりコップを傾け一気に飲ませる。


「結、ちょっとま、んぐぅ!」


 涙目でごくごくと飲んでいるのが少しエロいななんて女の私でも思ったが、まあ誰でも思う。キレ散らかしそうな葵をまあまあと宥めシャッフルのし終わったトランプを2つの山札に分けた。私の向かい側に正座をしておとなしく座っていた葵はカーペットの上でごろごろごろごろと小さく転がりまわっている。


「準備できたんだけどまだ?」


「できたのか、ちゃんと混ざってることを祈る」


 変なポーズと決め台詞をスルーして私は自分の手札を確認する。ハートの45678が並んでいるが多分気づかないはずなので山札からカードを一枚置く。


「おい、なんか数字と絵柄が綺麗そのままに並んでるけどちゃんと混ぜたのか」


「たまたまでしょ」


 葵も山札から一枚置き準備は整った。せーのでスタートをし、手札をどんどん減らしていく。時折間違って置くことができないカードを場に出し私がワンテンポ遅めに忠告をする。


「それ置けないよ」


「あぁ、マジか…」


手札に戻し出せないのか山札からカードを引き、立て続けにカードを出し葵の手札無くなった。


「え、早くない?」


「全部スペードだったんだけど」


 ゲームが一瞬で終局した気がするが別のゲームを思いついたので、私は部屋から退室した。散らかったカードを葵に押し付けると「なめてんのか?」なんて言われた気がしたが、これは多分酔っていて口が悪くなっているのだろう。


「今どんな気分?」


「ふわふわしてる」


「ふーん…」


 遊び道具を持ってくるついでにお酒を追加で葵に渡した。黙っている彼女に「飲みたくないの?」って聞くと頭をふるふる振って飲み干した。葵は真っ赤な顔でプラスチックのバッドを片手にふんぞり返ってる私をぼーっと見ている。


「じゃあ次はバッドに頭を付けてぐるぐる回っても真っ直ぐ歩けるか勝負ね」


恐らくこのゲーム、私の勝ちは確定だろう。こんなにも酔っている人間の平衡感覚がまともなはずはない。


「じゃあまず私が先にやるね」


バッドに額を当て3回くるくる回ると少しふらついたが難なく真っ直ぐ窓際まで歩くことができた。


「はい次、葵」


 受け取ったバッドを持ちながらフラフラしているが大丈夫だろうか。なんだか心配で声を掛けようとしたが手で制されたので私は黙って見ることにした。焦点の定まらない目でバッドを頭につけ1周2周回ったあたりでベッドに倒れ込んだ。


「葵? おーい。あーおーいー」


揺すっても起きることなく唸っているだけで使い物にならなくなってしまった。


「あーどうしよこの酔っぱらい」


 ベッドに居る葵に近づき横に座った。うつ伏せになっている葵の上に跨りお馬さんごっこすると下から「やーめーろー」とふにゃふにゃ声で抗議をされたので、私もベッドに身体を預け葵のとなりに来るように寝転んだ。


「みみあかいね葵」


「ん……ひゃあっ!な、なにして」


「耳舐めた」


「なんで舐め、あっ、やめ、んんっ」


 耳の味は特にないけどコリコリするような軟骨の感触は癖になる。それと吸ったりキス音をさせると葵は可愛い声を出すので楽しくなってくる。耳の奥に下を入れると葵はびくびくと動き面白い。

逃げようとする葵の身体を腕で掴み動けないようにする。


「ねぇ葵。女友達にこんなことされてどんな気持ち?」


「はっあ、あっ、んなこと、んっ!」


「ちゃんと言わないとわかんないや」


 うつ伏せだった彼女を無理やり仰向けにすると潤んだ目で口元を隠して声を出さないようにしていた。嗜虐心がくすぐられ覆いかぶさるようにして彼女の耳に口元を持っていき囁くように煽る。


「本当に嫌だったら突き飛ばしてね。まあ今の葵には無理だろうけどさ」


そう言い首筋をキスし少し噛み付くと身を捩らせながらも突き飛ばしてはこない。本当に良いの?と聞くと頷きもせず顔をフイッとそらし小声で「…好きにすれば」なんて言われたものなので堪らず抱きしめてしまう。


「苦しいよ」


「これからもっと苦しくしてあげる。覚悟してね」


そう言い葵の唇に指を当てると葵は静かに目を閉じ受け入れる体制を取った。私は顔を近づけると後もう少しで触れるという時にガチャリとドアが開く音が聞こえた。


「あっ」


「あっ」


 妹と目があった。私が一向に私がキスしないためか下から「ねぇ結。まだぁ?」なんて普段出さないようなとろけた声を出され私の心臓は緊張と興奮で爆発しそうだった。妹はその様子を見た後に扉をそっ閉じし逃げるように自室に戻らずリビングにすっ飛んでいった。


流石に待てなくなったのか目を開いた葵が不満そうな顔で私の顔を見てきた。


「あ、いや妹が」


「そんなもんしるか!」


下から抱きしめられ私はいとも容易く私のファーストキスが奪われた。少ししか触れ合わなかったがしっかりお酒の味がした。


「実はファーストキスなの。葵は?」


「わたしもおなじだばーか」


「最初のキスがウイスキーの味って大人の階段飛び越してる」


お互いファーストキスなのが嬉しくてまたキスをした。キスだけじゃ足りないのか葵は身体を擦り付けてくるが

流石に人がいる環境ではできないのか葵も少し迷い始めた。


「今度うちの親いないからさ、葵来るよね…」


「…うん。今度は酒なんかナシでな」


「ごめんって。卑怯だと思うだろうけど私はこんなことできなかった」


「そうか。まあでも意気地なしな結も好きだぞ」


「私はふにゃふにゃな葵が結構好きなったかも」


「…それってシラフの私はどうなんだ」


「さぁね」


ベッドでキャッキャッして、そのまま一緒に眠ってしまった。


 幸いなことに翌日は土曜日で休みだったので良かったのだが朝食時に妹と顔を合わせるのがすごい気まずかった。葵は気にした様子もなく私の親と話していたがバレていないのかどうかが気になり気が気でなかった。去り際に「本当に好きなら父さんと母さんにちゃんと言いなよ」なんて言われたのは心の救いだったかもしれない。


「お節介だ愚妹」


「どうした結?」


「いーや別に。ただ葵に好きだよって言うの忘れてた」


「ちょっ、結」


 あたふたしながら葵は弁解しようとしてるが母さんと父さんはあらあらなんて囃し立て、さらに葵は赤くなっていく。母さんと父さんは仲がいいな―なんて笑っていたがいつか伝えられたら良いな、なんて思いつつ暫くは秘密にして、葵をからかうスパイスとして使うのもアリかもなんて。


「わ、わたしも好きだぞ」


照れた顔で似つかわしくない言葉を言う私の親友(こいびと)は今日も可愛い。

人物の設定を前書きに書くのってどうなのかなって思いつつも載せてみました。


どうぞ暇つぶし程度に読んでもらえれば嬉しい限りです。


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