【スズランとオオカミ】～エレナ・シュミット戦車兵回想録・異聞～

　第二次世界大戦末期、ヨーロッパ中部の小国に生まれた銀髪のエレナは、車椅子に乗ったドイツ人と出会う。だが二人は未曾有の大惨事に遭遇し、列車に乗っていた家族全員を失ってしまう。「生き残りたければ、この戦車に乗るんだ」車椅子のハンスに促され、エレナは国を揺るがす争乱を経て一人の戦車乗りとして奮戦し、歴史に名を残す事になる。唸る側帯……響く砲声、爆煙立ち込める戦場の中、押し迫る敵戦車の砲塔を捉えたエレナが叫ぶ！！「ミケーネ！ 車体を昼食の時間(一時方向)に合わせて！！」 互いに発射した徹甲弾は交差し、相手を破砕せんと肉薄する……一瞬の判断が命運を分かつ非情の戦場に、大陸最強のソビエト戦車部隊が押し寄せる！！ やがて、四人の乙女達が車椅子の元ドイツ陸軍戦車兵に導かれて戦史に名を残すのだが、この物語はその四人の一人、エレナ・シュミットの戦いの回想録である。



※※筆者は架空史として執筆しているので、登場する戦車や国名、団体名はあくまでもフィクションとしてお読みください※※