僕の夏休み
「春希起きて〜」
僕を母ちゃんが呼んでいる。
夏休みなのに、なんで6時に起こすの?午後じゃなくて午前に。
築50年以上たっているらしいこの家。
階段を上り下りするだけでギシギシいう。
そんな階段を降りるとハムの匂いが。
お母ちゃんの嫌味をヘラヘラ聞きながら朝ごはんを食べる。
あ、紹介を忘れてた。
僕の名前は木村春希。
東京都渋谷区に住む小学5年生だ。
お母ちゃんは医者をしている。
母子家庭だ。
1日の半分以上は、1人で過ごしている。
そんな僕にお母ちゃんは、野球を始めさせたいらしい。
その、野球クラブには僕の苦手な翔がいた。
翔は正直にいうと怖い。
しょうではなくヒョウといわれている。
僕は翔って呼んでるけど………
まあいろんなことがあって野球を始めることになった。
グローブという始めての感覚。
想像以上に野球にハマりだした。
翔ともそれなりに仲良くなれた。
悲劇がおきた
ピロン、ピロン、緊急地震速報です
やばい、やばい
監督に誘導され避難所に。
僕を見つけたお母ちゃんが泣きながら抱きしめてくる。
どうやら家が土台から揺れたらしく、住める状態じゃないらしい。
そんな時、声をかけてくれたのは翔だった。
翔が俺の家に来るか?って言ってくれた。
嬉しくて涙が出た。
1晩避難所にいた。
家に行ってみると涙が溢れ出してきた。
高層ビルや、マンションに挟まれた細い家。
翔の家に3日ほどいた。
そんなことをしていたら夏休みが後2日で終わる
マンション賃貸に住むらしい。
よかった。
学区は今の学校の本町小学校。
夏休みが終わり、何事もなかったように学校に通う。
翔だけが知っている、今僕が住んでいる家。
翔とは、一緒
翔と仲良くなれそうだった。
なんで翔を毛嫌いしていたのか。
登校初日。
僕は、翔と一緒に学校に。
なぜ
僕が、翔と仲良くなっているのか、友達は不思議そうに見つめるけど
僕が知っている。
目には見えない、大切なつながりがあることを。