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「俺は勇者になんて就活しねえ!」  作者: 千早――ちはや――
――序章――
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第7章――光の力――

第7章

「光の力」


「よく試練を突破した。スラッシュ・ウィル、メイ・アマデウスよ」

俺たちは先ほどの大広間に通され、目の前には大臣と王女がいた。

また、先程と同じように冒険者候補達が見守っての中でのこの言葉であった。

なんだか少し緊張したが、それよりも気になるのは王女の顔立ちだった。

近くで見る王女の顔はやはりとても美しく、どこか幼さも感じられるほどであった。

「……ゴホン!」

咳払い一つで俺は大臣の方を見つめた。

「試練の結果だが……現時点での合格は無いものとする」

会場がざわついた。

あれだけのモンスターを倒しておいてかよ、と言う声が聞こえた気がしたが俺はあまり気にしなかった。

「静粛に。静粛に。話は最後まで聞くが良い」

「……その者、名をなんと言ったか」

大臣の言葉の後に王女が俺を指差し問いかけてきた。

「スラッシュ……ウィル……」

「ウィル家……やはり聞かぬな」

この女王は肩書きや名声で人を判断するつもりなのか?

と険しい表情が見えたのか大臣が口を挟んだ。

「勘違いされるな、ウィルよ。私たちが聞きたいのは……空間転移魔法の事だ」

「?」

「覚えておらぬのか? 一瞬にしてキメラの前に移動したあの魔法、あれは最上位魔導師でもそうそう使える魔法では無い。事実我が国でも使えるものはおらぬ」

ここまで言われても、俺の頭には?が浮かぶ。

「あの……俺も夢中でよくわからないんです。確かに目の前が光ったかと思うとモンスターが目の前にいた、それは本当ですが自分で力を使った意識は……炎の魔法くらい、です」

「魔法が使える剣士という事で合格条件は満たしてるとおもうんですけど……モンスターも倒しましたし」

メイも口を挟んで来る。やはり結果には不満なんだろう。

「そう焦るな……我もその素質は十分に見届けた。だが、最上位魔法を使える者がいるなど夢にも思っておらなかったのでな」

「今回の試練結果を発表する! スラッシュ・ウィルを『イレギュラー』とし、それと同時に勇者の資格も与えるものとする!」

イレギュラー……? なんだそれは。

「あの、イレギュラーってもしかして……」

「そうだ、冒険者の枠に留まらず、この王都に属してもらう事になる。つまり、私たちの監視下に置かせてもらう、という事だ」

「でも、今勇者の資格って……!」

俺が、勇者になれたのか?

「うむ、同時にメイにも冒険者の資格を与え旅に出る事を許可しよう。これが発行手形だ。それと同時に……例の物を」

と、大臣が声をかけると奥から光の玉がふわふわとこちらにやってきた。


「うう……まだ眠いよう」

何処からともなく声が聞こえる。

これは、光の玉が喋っている?

目を凝らすと、羽のようなものと……女の子、なのか?

「これって、精霊!」

メイは驚きながら光の玉を見つめていた。

「……我が国最後の精霊だ、以後の報告と監視はこの精霊に行わせる」

「すごい、ウィルさん……精霊を味方に出来るなんて、並みのことじゃ無いですよ!」

メイは興奮気味に話す。

「……ユピ、自己紹介を」

「んあ、えっと、ユピって言います。精霊やってまーす、よろしくねっ。あなたが勇者? うーん、なんだか頼りないわねぇ……」

なかなか失礼な奴だと感じた。

「ゴ、ゴホン、まあウィルよ気を悪くするな。少し天然な精霊ゆえ、まあおいおいと親交を深めていくが良い。では……」

「これからの事だが、ウィル、メイよ」

大臣の言葉に続き今度は王女が言葉を発した。

「……光の剣を探せ」

「……は?」

「我からの言葉は以上じゃ、健闘を祈る」

「うむ、まずは魔導の解析のため、魔導師の村へ行くとよい。また出会った人で困ってる村人がいたら助けるのもよいかもしれんな」

「ま、待ってくれ」

俺は口を挟んだが、既に女王は背中を向けて、そして消えていった。


「ま、よろしくー、ユピだよー」

残ったのは野次馬と、壇上に立つ俺たち二人だけになってしまった。

ユピの光が目の前でチカチカとしている。

俺たちももうここには用がなかったので即刻立ち去るよう命じられる。

魔導師の村……か……。

とりあえずそこに着くまでに情報の整理をしよう。

俺は王都を後にし、また草原へと旅立っていった……。

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