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Lila Kaugummi

 透き通るような白い肌と紫色の瞳。脱色した長髪はわずかに波打ち、オフショルダーのパーカーから見える首筋はとても華奢で、思わず人形と見紛うほどに庇護欲を掻き立てられる少女がいた。

 彼女は今、最近手に入れた電子端末に夢中だった。

「それ、ずっと触ってるのな」

 ぶどう風味のガムを噛みながら、正面に座る青年はずっと彼女を見つめている。

「ん、うるさい」

 端末から視線を外さないまま、少女が邪魔されることを言葉に出して拒み、青年は目が隠れるほど伸ばした茶髪をかき分けて、噛んでいたガムを風船状に膨らませる。それから、耳飾りと黒いチョーカーが特徴的なその青年は、前髪の隙間から見える切れ長の目を泳がせて、つまらなそうに辺りを見回した。

 空になったコーヒーカップを持て余した青年がもう一度少女のほうを見ると、彼女は小さな顔の狭い眉間に精一杯の皴を寄せて悩んでいる最中だった。ショートパンツから伸びた紫色のカラータイツに包まれた細い足を何度も組み換えている様子からも、イライラしているのが青年にも伝わっていた。

 困惑した少女の行き場のない怒りが、唸り声となって漏れ聞こえる。そして、今にも手にしている電子端末を放り投げかねないと思った青年は、おもむろに立ち上がると彼女の手から端末を抜き取るように取り上げた。

「ああっ」

 目の前のおもちゃに縋りつく猫を彷彿させる動きも空しく、少女の電子端末は音もなく青年のパンツのポケットに収納された。

「何するの! 返してよ!」

「ん、だーめ。ちょっと息抜きしよ」

 膨れっ面の少女を置いて、青年は二人分のカップを下げに向かった。その後ろを諦めた様子でしぶしぶついてくる彼女に、自分が被っていた黒いキャップを被せる青年。不愛想な表情でにらみ返した少女に、彼は優しく微笑んだ。

「キャップ、似合うね。可愛いよ」

 何かを言いたげに小さく口を開いた少女だったが、言葉を紡ぐ代わりに不本意だったはずの彼の帽子を引っ張って深く被った。それから、紅潮し始めた小さな顔を隠そうと、長い髪の毛を必死に手繰り寄せた。

「うう、うるさいうるさいっ」

 普段から褒められておらず、ましてや付き合いの長いその青年の口から発せられた真摯な言葉を受け入れられない少女は、困惑のあまりまた唸り始めてしまった。

「ごめんごめん、悪かったよ、ほら」

 そう言って彼が差し出したのは、さっきまでにらめっこしていたあの電子端末だった。

「その機械よりも、今日は僕を見てくれると嬉しいな」

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