始まり
俺は、ナイフで親友に刺された後、薄れゆく意識の中でとてつもない後悔に浸っていた。
(なんで俺がこんな目に会わなきゃならないんだ!くそ!くそ!)
親友は、会社の金を横領した挙句、クスリに手を出してイカレ更に次のクスリを買うために俺を殺し金を奪いに来た。
それから気がついたら知らない部屋のベッドに寝かされていた。
「俺は助かったのか?ここはどこだ……あいててて」
急に動いたせいか身体中に鈍い痛みが広がる。その痛みをなんとか我慢し起き上がる。
部屋の中は板張りの部屋でとてつもない違和感がある。
「まぁ!!ロスト様がお目覚めになられたわ!!!すぐにお医者さまを呼んできてちょうだい!」
俺は、異世界に飛ばされてしまっていた。違和感はそのせいだったのだろう。この世界は中世ヨーロッパのような典型的な異世界だった。
剣聖ロストは、齢20歳にして、このオトアリア王国を邪神から守り、邪神を滅ぼして王様から《剣聖》と言う称号を貰った、らしい。
そして、災難が去った後に、正式に近衛騎士団長最年少記録を30歳も更新して就任したそうだ。
きたぁぁぁぁ!!!!!!
これだよこれ!これで俺も勝ち組だーー!!!!
しかも鏡を見てさらに驚いた。
見ているこっち惚れてしまいそうなくらいの顔!顔!顔!
そしてやっぱり邪神を倒しただけあってチート級に強い。他の騎士団の奴らと手合わせしたけど、正直言って準備運動にすらならないレベルだ。
ちなみに近衛騎士団は王国中のエリートの中のエリートが集まっているらしく戦力としてはかなり桁外れだ。
こうして俺の異世界生活が、幕を開けた