ところ構わず発動
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母様の同僚の方によると、職場でも愛すべきキャラクターのようです。
今月は連休が多いので、少数精鋭で機能している工場にあり得ないほどの発注が入り、朝からピリピリとしたムードになっていたとのこと。
入ったばかりの新人さんは、空気に飲まれておろおろ。
今にも製品を落としそうなほどのうろたえっぷりに母様が一言。
母「落としたら、罰金ね♪」
新「えっ──」
固まる新人さんをよそに、同僚の方々は良い意味で気が抜けたらしく。
A「(罰金て)一個いくら?」
B「300円くらいかなぁ」
C「思い切って、500円とか」
A「それは高いよ」
D「私たちも気をつけなきゃね」
冗談話のできる余裕が出て、いつもの連携を取り戻して潤滑に仕事が進むようになり。
午後も変わらないペースでこなしていましたが、夕方になって疲労感が工場内を覆い始めた頃……
母「……ぁ……」
小さな声とともに、床と接触する何かの音。
すかさず、母様と仲良しの豊子さん(仮名)が斜め後ろに立ち、
豊「罰金、ね♪」
ふふ……と楽しそうに囁きました。
慌てた母様は、
母「言われると思った! 思ったけど!」
「これは手から離れていっただけだものっ」と言い訳をしつつ落としたものを拾い、チェックをして事なきをえました。
終業後、ロッカールームにて。
「うち(の工場)は、どれだけ殺伐とした雰囲気になっても、あなたが何かやってくれるってわかってるから、あの空気に耐えられるのよね」
お疲れさま、と爽やかに去っていく同僚の方。
「ほんとよね」「あれがないと、ムリだわぁ」「お先にー」と次々に帰っていき、豊子さんと母様も帰り支度をしていました。
豊子さんはにっこり笑って、
豊「まぁ、それがあなただから」
母「豊子さん、それはどういう──」
豊「ふふふ。 特売日だから、お先に。お疲れさま」
母「えっ、あ、お疲れさま……?」
母様は、よくわからない……首を傾げていたそうですが、豊子さんが私にそっと教えてくださいました。
「自然体で、その場の空気を変えられる。あなたのお母さんの、良いところよ」
と。
そして「天然だけど」と笑う豊子さんに、深く同意した私です。




