1回戦 Part1
宮殿の大ホールは多くの参加者でごった返していた。それを遮るように、第一秘書のクリス・モンタナが話始めた。
「MURDER GAMEにようこそ!これから皆さんには、生き残りを賭けたあらゆるゲームに挑戦していただきます!」
クリスの凛とした、透き通る声が大ホールの喧騒を一気に静寂に変えた。参加者は皆、クリスの声を真剣に聞いていた。
「ルールを説明いたします。このゲームは1対1のトーナメント方式で行います。対戦相手に勝利すれば生き残り、次のゲームへと進みます。敗北した場合、敗れた者は当事務局の権限により敗者を抹殺します。そして、優勝者には賞金100億ハーランと、このジャポネスク共和国の大統領の称号を授与いたします。」
このMURDER GAMEは、一個人のゲーム好きが立ち上げたゲームではない。ジャポネスク共和国の国家プロジェクトだったのだ。つまり、ゲームマスターのダニエル・ニールセンこそがこのジャポネスク共和国の現大統領である。
このダニエル・ニールセンが掲げる、『殺し合いの政治』に異を唱える者は誰1人としていなかった。いや、正確に言えば、異を唱えることなどできなかった。
この男に異を唱えることは、もはやこの国での居場所を無くすようなものだ。反逆者として、永遠の迫害を受けることになるからだ。
それならば大金を手に入れて富と名声が簡単に手に入るMURDER GAMEは、下克上にはうってつけのツールである。欲望渦巻くこの国にとって、MURDER GAMEに勝つことは『英雄』として名を馳せることを意味する。
欲望だらけの者たちが集っている宮殿の大ホール。否応なしに宮殿のボルテージは最高潮に達していた。
この雰囲気にミハエルは完全に飲み込まれていた。確かに100億ハーランも欲しいし、富と名声が簡単に手に入ることも、ごくごく平凡な高校生にとっては魅力的なコンテンツになっている。しかし、いきなり訳も分からず宮殿の大ホールに通され、今まさにゲームを始めようとする状況がまだ頭の中で整理できていなかった。
「それでは、トーナメント表を発表します。」
巨大なトーナメント表が大ホール一帯に掲げられた。
掲げられると同時に大ホールが一堂にどよめいた。このトーナメントひとつで、自分の生死が決まると言っても過言ではないからだ。
ミハエルの対戦相手も決まった。1回戦の相手は、『マリア・アンダーソン』という、10歳の少女だった。
「10歳のガキが相手か…楽勝だな。」
ミハエルは完全にこのゲームをナメていた。ミハエルは富と名声を手に入れることしか頭になかったのだ。
もしもこの幼い女の子が敗れればこの子はその場で抹殺される。そんなことは考えもしなかったのである。
「では、1回戦のテーマを発表します。1回戦のテーマは………………『ダウトゲーム』です。」
第一秘書クリスからテーマが発表されると、大ホールは割れんばかりの大歓声に包まれた。
「『ダウトゲーム』について説明します。制限時間は2時間。出題者が自分のパーソナルデータについて出題します。出題する内容は、ご自身のことなんでも構いません。それを回答者が『トゥルー』か『ダウト』かを答えます。正解すれば回答者にポイント、不正解ならば出題者にポイントが入ります。出題者と回答者を交互に行い、制限時間後にポイントの多い方を勝者とします。…………それでは1回戦、始めてください!」
クリスがゲームの説明をしてから間髪を入れず、1回戦が始まった。
いよいよ、究極のサバイバルゲームの火蓋が切って落とされた。
この作品は『殺人』という究極のタブーに切り込んだ作品です。15歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
※作品内の為替レート
1ハーラン=1円




