表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

ゼロ時間後の出来事:そもそも時間が動かない

 もうすっかり電池切れ(エネルギー・ロス)で動けない俺を肩で担ぎ、真夜中の校舎を進んでいく。

 俺を支えるその身体からは、静かに赤黒いものが流れ出ていて、これでは居場所を知らせているようなものだ。すぐに追っ手に嗅ぎつけられしまう。そんな、ただでさえ逃亡が絶望的な状況なのに、マスターはほぼ使い物にならなくなった俺を捨て置くことはしなかった。


「今、少しでも自分を捨てた方が効率的だとか思ったなら、ぶん殴るよ」


 いつも穏やかな彼らしくない物言いに、胸が苦しくなった。アンドロイドに心が搭載されているかは分からないが。

 彼にここまで言わせてしまったのに、俺は恐らく、彼の想いに報いることができない。俺が活動できる残り時間は、あまりにも少ない。エネルギーも足りなければ、機体の損傷も激しい。


「お前は何も考えなくていいんだ。サーバに接続できなきゃ計算もままならない馬鹿なんだから、黙って僕の言うことを聞いていて。僕の方が頭いいし、お前のマスターは僕だ」

「…………深楽しんら

「なに、ノア」

「……俺が、深楽を守る」



 ――誓う。今日までマスター・赤月あかつき深楽しんらに生かされたこの命。活動限界までの全ての一瞬を、深楽を守るためだけに捧げると。


「…………ばぁか」


 深楽の泣きそうな囁きが愛おしかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ