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王の花嫁  作者: 川本千根
7/50

神事

【長老神官】 フェイ




王の花嫁選びは昼と夜の長さが同じ日に行われる

その日没の瞬間に


これは花嫁が昼と夜とに平等に加護を受けるよう願いを込めてだ


村の長の責任において集められた娘を祭壇を中心に等間隔にうず巻状に並ばせる


祭壇から王が天に向かって弓で矢を射る


湖に三十日沈められ、湖の神の御心が乗り移ったとされる矢を使う

その矢が落ちた一番近くの娘を神が選んだ王の花嫁とする


もちろん、矢が落ちるのは祭壇近くのことが多い

そこで娘の並ばせ順が重要になってくる


ここがわが鳥湖族の面白いところなのだが、親の身分や貧富は一切関係ない

本人の資質でさえ

ただその娘の住まう場所が王宮に近い順に並ぶのだ


国政を司る政治家や役人、神職の娘は当然王宮の近くに住んでいるので円の中心付近になる

同じように王宮の馬番の娘や厨房で働く者の娘なども円の中心付近に並ぶ

やはり親の身分など関係ないのだ


前王のアナン様はこの花嫁選びを嫌がった

私の父がどれだけ説得するのに苦労したことか

もしかしたら心に決めた相手がいたのかもしれない


どんな親の娘でも、また本人の資質がどうであれ、王の花嫁になりうるというこの神事は鳥湖の並列思想を象徴する大切な儀式なのだ


王になる者の定めと、諦めてもらうしかなかった


カエン様はただ淡々とこの神事を受け入られておられる

あらゆることに一切の私情をはさまない

もともとそういう気質なのか意志の力なのかは私には分からないが


今日は風のない良い日だ


カエン様が沐浴を終えられた

お着替えが済んだら神事が始まる





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