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王の花嫁  作者: 川本千根
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誰に、何を

王宮の方たちは申し訳ないくらい良くして下さる

王族の方たちも、そこで働く方たちも

特に宰相の娘のサリさんは手とり足とり全ての事を教えて下さる


賢い方だ

言動の全てに知性を感じる


思い上がった話をすると、私は容姿の醜さと引き換えに知力を持って生まれて来たと思っていた


サリさんの視野の広さと瞬時の対応能力を目にすると、私が思っていた知力とは単にものを覚える能力と問題を解く力に過ぎないと思い知らされる


そしてこの人はその心ばえが素晴らしい

王にも、自分のお付の方にも同じように尊敬の念を持って接している

人によって態度を変えるということが決してない


皆この人の容姿を褒めるけど、私はこの人の人格こそが神様に与えられた最高のものだと思う


この人を好きにならない男の人などいるのだろうか?


カエン様は本当はこの方を花嫁にしたかったのではないだろうか

なんだか申し訳ない気がする


私、いったい誰に、何を、謝れば…いいの?



カエン様の弟君のリオス様は私のことを嫌っておられるけど、それをどうこう思わない


王宮の方たちは私の後ろに湖の神を見ている


けれどリオス様は私自身を見ている


リオス様が私のことを嫌いでも、私はリオス様のお姿を見るのが好きだ

あの大きな瞳に細い身体付きが似合っている

お父様も若かった時はこんな感じだったに違いない


お父様自身がリオスは私の若い頃によく似てるとおっしゃっていたもの


カエン様はいつも神職の方のように臙の絹のマントをはおられているけど、リオス様はマントははおらずいつも両肩を露わにしている

王族のお衣装としてはどちらが正しいのだろう


私はリオス様が長いマントをはためかせ歩く姿も見てみたい気がする


私は自分が醜い分

美しいものへの憧れが強いのかも知れない…







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