選ばれた花嫁3
次の日の朝、私は早くにカエン様に起こされた
「ハナ、私の髪を結え」
「王の髪は妻が結う」
「これはしきたりだ」
見れば部屋の一角に重厚な鏡台と椅子が置いてある
王はその椅子にお座りになった
私はお付の方に櫛を渡されたけど、果たしてこの膿の滲む手で王の美しい髪を触っていいものか…
「かまわない、結え」
躊躇していたのに気がつかれた
その日初めて私はカエン様の父上の前国王様にお目にかかった
噂どうり美しい方だった
とても痩せておられたけど…
私は枕元に呼ばれおそばに近づくとき、今私が前国王様を見て美しいと思ったように、この方も私を見て醜いと思っただろうと思い至り、いたたまれない気持ちになった
前国王様は優しくほほえみ、両手で私の手をそっと包み
「カエンと助け合って国のために尽くしてくれ」
とおっしゃられた
びっくりした
私は今までこんなに優しく人に接してもらったことがない
王というのはこんなに慈悲深く人に接するものなのかと心底感激した
もしかしたら感激したのは生まれて初めてかも知れない…
その後妹君や弟君にも紹介された
「姉上様、どうぞよろしくお願いいたします」
とのご挨拶に、私はなんと返していいのかわからなかった
王宮の方たちは皆この醜い私を神に選ばれた者としてあつかってくれている
私は本当に神に選ばれたのだろうか?
神に選ばれ美しき王の花嫁になる
私が普通の娘だったらどんなに幸せだったか知れない
でも私は親殺しの異形の娘なのだ
王は私を見てどんなに絶望されただろう
私を妻として生きていかなければならない王の気持ちを思うと…
立派な方だから態度にはお出しにならないけれどきっと内心は嫌でたまらないに決まってる
私はこれからも嫌われ続けて生きていかなければならない
嫌われ続ける…
ああ、結局どこにいても同じなのだ




