脱走
「どこに行った?!」
「わからん!とりあえず、包囲網は貼った。とにかく虱潰しに当たらう。」
「たく、クリスマスだってのによ。なんでこんなことしなくちゃいけねえんだよ。」
「仕方ないだろ。このまま局長や科学者に知られてみろ。次は俺たちが実験体だぞ。」
「あぁ。んなことは、わかって…おい!あの影!」
緊張が走る。俺は慎重に対象へ近づいた。ホルスターからグロックを抜くのも忘れない。
突然対象が走り出した。
俺は迷わず引き金を引いた。二人のうち一人が倒れる。
もう一人は躊躇したようだが首をふると走り出した。
「止まれ!」
「やめろ!あいつらを、殺しても意味ないんだ!おうぞ!」
「あー!クソッ!あんなガキのために!」
「本部。1人確保しました。迎をお願いします。」
曲がりくねった路地を疾走する。追いつけそうで追いつけない背中に俺はイライラした。
その時だった。対象の姿がストンと穴に落ちて消えた。
俺は立ち止まる。
「地下に逃げられた!」
「おうぞ。」
「バカ言え。あんな無法地帯。誰が好き好んで…」
相棒が俺を睨む。俺はやれやれというと相棒の後に続いて階段をおりていった。下に行くに連れて異臭が鼻についてしかたなかった。
「まったく。地下は本当に…」
相棒が言い終わるえにブシャーという奇妙な音がした。生暖かい物が顔にかかる。
「おいどうしたんだって!おい!!」
相棒の体には首から上がなかった。
力なく相棒の体が倒れる!
「どこだ!どこにいる!化けもん!」
「ここだよ。」
突然身動きかとれなくなる。
「は、話せ!この野郎!」
グロックをメチャクチャにうった。
当たった様子はない。
「これは俺からのプレゼントだ。メリークリスマス」
俺の意識は完全に途絶えた。