その7
「・・・はい?」
意外な言葉に、ロジーナの涙は止まった。自分は確か、七重宝樹の黄金から「蒼藍」と任命されたはずだが?その疑問が、先ほどの返事で伝わったようで、ビルが失笑しながら説明する。
「今回のはまだ『仮配属』なんです。四院限定のものですが」
「仮・・・?」
「はい。本来は仮免許を本免許にするための、最終試験と仕事先での研修が兼ねられているんですけど。その辺も四院は特別なんですよね」
「じゃあ、あたしはまだ蒼藍じゃないんですか・・・?」
「まあ、理論的にはそうなります」
いまさらそんなことを言われても、ロジーナはしっくり来なかった。というより、もともとビルは胡散臭いのだ。自分が意外と使えなかったから、体よく追い払うつもりではなかろうかと、疑心暗鬼になる。訝しい表情でみてくるロジーナに、ビルは仮免許証を見せるようにいった。そこは素直に、彼女は従う。
彼女の免許証は紫色で、思ってより綺麗な色で驚いたものだ。が、同時に少し毒々しさも感じて、実際はあまり好きではなかった。
「これが何か?」
「まあ、見てください。シュール、イル、免許証を」
二人も素直に従って、免許証を取り出した。車の運転時と同様、仕事の時には肌身離さず持っていなくてはならないのだ。
見せられた免許証は、ビルのは黒、シュールのは赤、イルのは青だった。ずいぶんとカラフルである。
そのことをもらすと、ビルが名前の少し上を指差した。そこには玄狄使、朱蛮使、青夷使と書かれている。あと白戎使がそろえば、魔道士を大きく分割した四大職業がそろうところだ。各々の細かい説明はおいおいビルから彼女に解説があるので、そこまで待っていただこう。
そこで彼女は気付いた。
「あれ?あたしのってそれ、書いてる?」
ひざの上に置いておいた免許証を見ると、そこには名前しかかかれていなかった。
つまり、本物の免許ではないということだ。




