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蒼藍~反魔道士思想の村~  作者: 環田 諷
最後のモグラ
55/70

その5

 口を蔓で縛られてバタバタしているモグラを見ながら、イルが目を丸くした、


「?どこに向かって吐いてんだ?」


 シュールもそれに珍しく同意したようだが、ビルとしてはほっとする。今現在、あの攻撃をされていたら、イル一人しか戦えず、怪我をしていたことは目に見えている。

 同時に魔法を使うことは可能だが、力がものをいう捕縛系魔法との併用は、かなり大変なのだ。そのため、一般的には「捕縛系魔法使用時には、ほかの魔法は使えない」といわれている。


「どちらにせよ、被害がないなら・・・」


 そう言いかけたとき、ビルはふと思い出した。

 崖側には、多くの村人が避難していた。

 そしてそこには、入ってきたばかりの新人を遣わせたばかりだった。


「まさかっ・・・!」


 先ほどの瓦礫のせいで、ビルたちには崖側が見えなくなっている。しかし、背の高いモグラなら、余裕で見通せる距離だろう。

 あの一撃の狙いは、間違いなくひ弱な村人とロジーナだ。


「イル、崖側に水を!ロジーナさんたちがあちらにいるんです!」

「マジかよ!」


 イルは慌てて足を踏み鳴らした。水の紋(ストリーム)が発動し、彼が唱える。


「『水陰流(アクア)』!」


 勢いよく水が噴出したのと同時に、奥で大きな何かが崩れる音がした。

 盛大な砂煙を前に、切なく水が止まった。


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