その14
と、その時、別の穴からもう一尾のモグラが飛び出した。先ほどから姿を見せないと思ったら、地下でどちらかが屋根から降りてくるのを狙っていたようだ。そしてイルの足音を聞いて、飛び出してきたのである。
モグラの狙いにはまったイルは、思い切り撥ね上げられた。代わりにシュールが魔法で応戦する。彼は右胸をたたいて、再び葉の紋を発動させる。
「『蔓纏捕縛』」
紋から飛び出してきた蔓が、出てきたばかりのモグラを捕らえた。土属性のモグラは、葉や水の魔法に弱い。葉の魔法で拘束されては、蔓を引きちぎることもできない。
「おっし、そのまま抑えてろよ!」
体制を治したイルが、中空で翼も出さずに笑った。命令されたシュールは、舌打ちしてから蔓を腕に絡ませる。彼が前髪を上げると、その眼前に紋が浮かび上がった。
外野のロジーナは、習っただけで見たことのなかった紋に感動する。
「氷の紋!」
「彼の第二の魔法です」
結界のせいで外野と化したロジーナとビルは、その戦いをその外から見守っている。
「『冱固』!」
紋が光ったことを認識するやいなや、モグラの体がみるみる凍りついていった。大型のモグラが一瞬で凍るなど、その魔力のすさまじさが見て取れる。高々と跳ね上げられていたイルは、そのまま持っていた斧で凍ったモグラを叩き切った。きれいに真っ二つに割れたモグラは、そのまま土塊へと姿を変えた。イルの魔力で作られた氷塊は、すぐに消滅する。
「うっし!」
二人が駆けつける前に倒したと、イルはガッツポーズをする。実際は彼の結界魔法のせいで、中に入れずもどもどとしているだけだが。




