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その14
部屋に残された二人は、やれやれといった風情で沈黙を続ける。蒼藍たちにとって、このやりとりは毎度のことだった。
ビルは自分の寝床として割り当てられたソファに座る。
「いいのか?泣きそうだったぞ」
「そう言われましてもねぇ・・・」
困ったように頬をかくビルを見て、イルはベッドから飛び降りた。
「くもみてぇなやつだよな」
「蜘蛛ですか?」と、手をわきわきさせるジェスチャーつきで、ビルが聞いてくる。イルは訝しい顔で彼を見た。今の流れから推測できないほど、ビルがバカでないと、彼は知っているのだ。
「てめぇ、わざとだろ」
「何がです?」
平然ととぼけるビルに、イルは嘆息した。おもむろにベッドから飛び降りる。
「雲だよ、空流れてる白いやつ!」
「ああ、そっちですか。って、私ってそんなに流れそうですか?」
「もういい!俺も出る!」
彼はビルの顔も見ずに前を通り過ぎると、廊下に出た。




