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蒼藍~反魔道士思想の村~  作者: 環田 諷
フォディスト
30/70

その11

「ええ、そうよ」


 剣幕に負けず、彼女は笑顔で肯定した。それを兄は真正面から、ガンをとばして返す。前に抱きついていた弟を庇うように自分の背に回した。兄はちっとも気持ちのこもっていない言葉を続ける。


「弟を保護してくださったことには感謝します。でも、これ以上関わらないでください」

「は・・・?」


 弟の視線に合わせるために膝をついていた彼女は、口を開けて固まった。兄は弟を連れて足早にその場を去り、ぽつんと一人、彼女は残される。

 二人の姿が見えなくなってから、彼女は思わず憤慨した。


「なっによ、あの態度!」

「うるさい」


 唐突にかかった声に、彼女はのけぞって上を見る。声の主は、後ろに立って彼女を見下ろしている仮面である。いつ来たのかはまったく解らなかった。気付いてから数秒送れて驚く。


「うわっ!」

「うるさい」


 シュールは悠々と彼女の横を通り過ぎる。あわててロジーナは彼の後を追った。この状況でまた一人残されたら、さびしいったらない。

 彼女は自分の仕入れた情報を、口に出しながら整理し始める。自信満々に話す彼女に対し、シュールが冷静に口を開いた。


「やっぱり典型的なフォディズムか」

「フォディズム?」


 尋ねる調子で発言したつもりだったが、シュールは彼女の求める回答はくれない。その後宿に戻るまで何度も尋ねてみたものの、ずっと無視され続けて終わった。


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