表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼藍~反魔道士思想の村~  作者: 環田 諷
配属・蒼春院
3/70

その2

毎回3ページずつの更新です

 ここで忘れていたものを色々と説明しよう。

 彼女たちの職業にあたる魔道士とは、精神力とも体力とも違う魔力という独特な力を使う職である。魔力は体内にたまっているもので、それを外に出して使うのには、鍛練と才能が求められる。つまり、そう簡単になれる職業ではないということだ。

 そして、この国では私営の院もあるものの、一応魔道士は国家公務員に数えられる。そのため、魔道士になるには国家試験を受けなければならない。試験は魔術学から出る筆記試験と、魔力を発動させるだけの実技試験の二つ。この難関をくぐれるものはかなり少ない。しかしそれでも、ここでもらえるのは一年間しか使えない仮免許だ。

 きちんとした免許を取るには、さらに三ヶ月の研修がいる。研修中に実践的な魔法を習い、魔道士の常識を学ぶ。全体成績と最後の認定試験の成績の総合結果が認められて、やっと魔道士として社会に出ることができる。そしてそれこそが、最も難しいのだ。実際ロジーナも合格はぎりぎりだった。

 早くもJの番になり、ジェシカが申告される場所に向かうことになった。

 配属の通達は、黄央院の中央堂で行われる。そこにいる、まあ大雑把に言うと偉い人たちから直接お言葉を賜るのだ。偉い人たちというのは、一生に一度しか会うことすらできない存在である。あくまでも多くの魔道士は、という話だが。

厳格な服装の現役魔道士に呼ばれた彼女は、「んじゃ、行ってくるね」と勇ましく笑う。不安だろうが、憧れの仕事に就けて嬉しいなのは変わらない。わくわくとした感情の方が、彼女の中では強いのだ。

 が、帰ってきた彼女の顔は行きとは正反対だった。不機嫌というか、不安というか、とにかく楽しみとか嬉しさとはかけ離れた表情である。ロジーナは小さな声で、どこに配属されたのかを尋ねた。すると、ため息をついてから残念な声でもらす。

「配属、碧空院(へきくういん)だって・・・」

たったその一言で、彼女が落ち込む理由を理解した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ