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蒼藍~反魔道士思想の村~  作者: 環田 諷
眼鏡・目隠し・仮面
15/70

その8

今回で説明は終わりです

 先ほど書いた数字は、各院に住んでいる蒼藍そうらんの人数ということだ。ここで彼女は矛盾を感じる。認識している蒼藍の定義からずれるのだ。


「・・・蒼春院そうしゅんいんにいないのに蒼藍なんですか?」


 ロジーナのもっともな質問に、彼は油性ペンのフタを閉めながら答えた。


「蒼藍を定義的に言いますと、蒼春院の依頼を受ける魔道士のことを言います。玄黎(げんれい)などは違いますけども」


 玄黎は、玄冬院げんとういんの魔道士のことである。今までの話をロジーナの疑問と繋げると、この静けさの原因は蒼藍の特殊な形態が影響しているわけだ。あと二人しかいないと解れば、なるほど納得の静けさである。

 一つ疑問が解決したところで、次の疑問をぶつけてみる。


「あの・・・お名前は?」

「あれ?名乗っていませんでしたか?」


 またそれかと、早くもあきれ始めた。その言葉に首肯で返すと、彼はすっと席を立って(うやうや)しく一礼した。


「それは失礼しました。私はビルと申します。ここにいる蒼藍の中でもっとも長くいるものです」

「ビル・何さんなのですか?」

「さて、部屋に案内しましょうか。ついてきてください」


 解りやすいほどにバッサリと話をかわされてしまった。無視されたのか、聞こえなかったのかは解らないが、意図的にかわされた可能性を考えて、敢えて二度はやめる。

 席を立とうと視線を机に向けたとき、ロジーナは目を丸くした。先ほどまで油性ペンでいろいろと書き込まれていたテーブルが、元の白さを取り戻していたのである。ぱっとビルを見るが、彼はすたすたと階段に向かって歩いていた。気付けばマーカーも消えている。彼がテーブルに手をついたのは、席を立つときの一瞬だけ。彼が何をしたのか、いくら考えても答えが出せそうに無かった。

 置いていかれそうになったロジーナは、あわててビルを追いかけた。そのまま彼女が尋ねる機会を失ったのは、言うまでもない。


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