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男の人と女の人

作者: ラギ

「あなたは死にたいと思ったことがある?」


女の人が男の人にききました。とてもまじめな声で、とてもまじめな目でした。

男の人は、ちょっと驚いた顔をして、またすぐに微笑みました。


「あるよ」


男の人はゆっくりと言いました。

「僕は何度もあるよ。この手にナイフやロープを持って首にあてた回数は、数えきれない。

でも今こうして生きているのは、怖いからなんだ。

死ぬ痛みを想像すると涙が出るし、死ぬことを考えただけで両手は震える。

死ねば君の笑顔は二度とみることができないし、僕という人間はこの世界から消えてしまう。

そう思うと、とても悲しいし、さみしい」


だから、と男の人は言いました。

「君も、死なないでいてほしいな」


今度は女の人が驚く番でした。

男の人をじっと見つめるけど、男の人はそれ以上は何も言いません。


女の人の目から、涙があふれました。それは悲しみの涙ではありませんでした。

うれしかったのです。


何もきかずに自分のことをちゃんとわかってくれて、ただのおしゃべりのように自分のことを明かしてくれて。

そして女の人に死なないでい欲しいと言って、それ以上は何も言わない男の人のことが。


本当に、どうしようもなくうれしかったのです。


女の人は、男の人に泣いているのを見られたくなかったので、下を向いて、でもはっきりと言いました。



ありがとうって。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  僕の心は3行目で、もうラギ様に持っていかれました。  男の人は、ちょっと驚いた顔をして、またすぐに微笑みました。  これ凄い文章の構成だと思うんです。「また」←っていう2文字が入った…
[一言]  こんばんは、吹雪です。ふと目にとまったので読ませていただきました。  なんだか、短いのに心にじんわりと染みこむというか……温まるというか、そんな感じがしました。小さくも優しい感動をありが…
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