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他殺考察

作者: 葛城 壱

タイトルからもわかるように「殺す」ことに関するものですが、作者はそういう行為を推奨しているわけではありません。

人間の「怖さ」みたいなものについて書いたつもりです。

よし、人を殺してみようか。

ふと、そう思った。

経験したことないから自殺でもいいけど、後のことを考えればやはりここは他殺だろう。

さて、実際問題、人を殺すとして何から準備すればいいだろう。

……凶器?

うん、そうだな、凶器だ。これは外せない。

凶器、凶器……ベタに包丁とか?それともチェーンソーなどの色物に走ったほうがいいのか。

いやいや、待てよ。そもそも殺害方法を決めてからのほうがよくないか。

刺殺、絞殺、撲殺、轢殺に溺殺……ミステリやらラノベやらでしか得てない俺の知識でもこんなにある。より取り見取り、ってやつか。

うん……人間ってこえぇよ。

んなもんばっか、充実させないでもっと他に考えるべきこととかあるだろ。知能と時間のムダ使いすぎるだろ、もったいねぇ。

ま、それはさておき、どうするか。

なるべく時間とか手間のかかんないものがいいな。課題とか、バイトとか他にやるべきこともあるし。

とりあえず、大して力強くもないし撲殺は難しそうだ。溺殺は手間がかかりそうだし、轢殺もそもそも車の免許持ってないから無理だ。

と、なれば刺殺か絞殺あたりが無難だろうか。凶器も日用品で済むし、なにより足がつきにくそうだ。

ああ、そうだ。さすがに捕まって刑務所行き、ついでに死刑台行きなんて経験は勘弁したいんだよなぁ。

トリック、アリバイ工作が必要か。

素人考えじゃばれるだろうし…そんな有名じゃないミステリからパクるか。どうせなら、洋書のほうがいいよな。

後で本棚あさってみるか……姉貴の。

しかし、あれだ……人を殺すって大変だな。実行した人を軽く尊敬しないこともない。考えるだけでこんなに疲れんのに。

あと、なにか必要なものはあったか。

ああ……あれか、捕まったときのための動機でも考えておくか。最悪を想定しておくことも大切だしなぁ。

なるべく、こう情状酌量してもらえるようなやつを考えとかないとなぁ。裁判員だし。

動機……ベタなのは怨恨だろうか。同情は引き付けやすいけど、でもありきたりすぎだよなぁ。つまんないし。

動機、動機ねぇ……。

つーか、その前にあれだ、誰を殺すか決めてなかった。

んー、誰がいいだろう。

家族、友人、バイト仲間に顔見知り。顔だけは広いからより取り見取りではあるけれど。

……本当に誰にしよう。

他殺を経験してみたいだけで、殺したいほどの何があるわけでもないし。あー、やっぱり殺人って大変だ。すごい労力を必要とするよな、ほんと。

しかし、本当にどうしよう。

俺は誰を殺そうか。







「で、なんでアンタは満面の笑みでロープ片手にあたしの前にいんの?」

「うん、これが一番かなって思ってさ」

「ああ、うん、わけわかんないから帰れ」

「恋人ってよく考えたらベタだし、好きすぎてって理由も悪くないと思ってさ」

「いやいや、だから人の話聞けっての。てか、なんの話?」

「だからー、俺は君が好きすぎるから、ロープを使った絞殺で君を殺すことに決めた、って話」

「……ヤンデレ?」

「ああ、そういえば世間では流行ってるんだっけ」

「いや、流行ってるっていうか……ま、そんな感じ」

「大人しくしててくれれば、すぐ済むから、ねっ?」

「了承してないからっ。あー、あれよ……あたし殺したらもう手料理とか食べれなくなるんだからね」

「……うん、やめとく。君の手料理は絶品だから、食べれなくなるのはイヤだ」

「……。あたし、なんでアンタと付き合ってんだろ……」

「そんなの、俺が君を好きで、君が俺を好きだからに決まってるじゃないか」

「あー、はいはい、ソウデスネー」



『殺したいほど愛してる』



(どこまで本気か、本人にも測定不能)


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