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なんで私⁉ 野球知識皆無のJKが戦国時代で野球を広め、信長の恋女房になってしまう件  作者: ハムえっぐ
【旅せよ乙女、お市ちゃん結婚編】

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第13話 長谷川真昼、旅に出る

 今川義元を撃破したことで、織田家の知名度がめちゃくちゃ上がったらしい。

 あちこちの大名から警戒されてるんだって。

 華々しく勝った相手である今川も、信長様の幼馴染の竹千代さん筆頭に抵抗しているし、美濃の義龍も敵対行為を鮮明にしてるし、尾張国内でも不穏な動きがあるそうな。


 このまま一気に天下統一! って思ってたのにガッカリだよ。

 意外と味方が少ないんだね。信長様って。


「真昼~」


 私はというと、昼間は野球の練習をしながら空き時間は藤吉郎さんや吉乃さん、奇妙丸君たち。それと今、私の胸に飛び込んできたロリっ娘お市ちゃんと仲睦まじい日々を過ごしている。


「これあげる!」


「おお! 美味しそうなキノコ! って、痺れキノコじゃないかーい!」


「ちっ」


「舌打ちしたよこのロリっ娘! もう! 私と藤吉郎さんは恋愛感情ないって言ってるのに!」


「……ほんとお? いっつも一緒にいるじゃない」

 

 わーお、ジト目が怖いよ、このロリっ娘。


「それは任務であって、恋愛感情一切なし! てゆーか、藤吉郎さんは女の子で本当は帰蝶様で、帰蝶様は時々信長様と密会デートしてるのに私の入る余地ないでしょ!」


 まったくもう、吉乃さんも勘づいてるぞ。元妻を男装させて部下にして浮気してる事実を。


「つーかさあ、帰蝶お姉様の婚約破棄をする手筈サボってるじゃない? それについてはどう言い訳するのかなあ?」


 私の首筋をなぞるお市ちゃん。

 ……この子、眼がマジですよ。


「いや、ほら。ねねちゃんもこわ……じゃなくって帰蝶様が女の子って知って結婚する気満々だし、あの子賢いから信長様と男女の関係も気づいてるっぽいし、別によくね?」


「あっまーい! 甘いのよ真昼は! 考えてもみなさい! ゴツゴツして脛毛が汚く生えてる男と違って、帰蝶お姉様は柔らかくてぷにぷにしていて脛毛も生えてないんですよ! そんなのを独り占めできる夫婦になれるって、ねねのくせに生意気じゃない!」


 まあ一理あるけど、一番重要なのが生えてないよ?


「私も脛毛生えてないですよ。ほら」


 スカートめくって見せると、ジーって見つめてくるお市ちゃん。


 うん、やっておいてなんだか、お市ちゃんの視線で恥ずかしくなってきたよ。

 ちなみに私の履いているパンツは、戦国に来た時に履いていたのと同タイプ。

 あっという間に作ってくれた職人たちの技術に感謝だよ。


「ハアハア……真昼、今日は私の寝所に来なさい。ハアハア……これは命令よ」


「嫌ですよ私! 貞操の危機を感じるんですけど⁉」


 まったくもう。なんで織田家家中のロリっ娘どもはこうもおかしな方向に成長しているんだ?

 多分これ、藤吉郎さんのせいでしょ。


 こんなふうに、いつものようにお市ちゃんと戯れていると背後から強烈なオーラが発せられてくる。


「市、ここにいたか。……真昼も一緒か、丁度いい、一緒に来い」


「げっ……お兄様」

「あっ、信長様」


 信長様が現れて、返事する間もなくスタスタ歩いていく。

 ホント、神出鬼没だよ。


 追いついた場所は大広間。

 おお、なんか偉そうな人たちが全員揃ってる。

 前にいる権六さん、いつも堂々としているのに表情が暗い。どうしたんだろ?

 後ろの方にいる藤吉郎さんも俯いている。これ、私とお市ちゃん以外、みんな知ってるパターンか。

 中学の学園祭の演し物で、風邪を引いて休んだ翌日に自分の役がメロスだと知った時の雰囲気そっくりだよ。

 

 上座に座る信長様の横にセンイチとミズハラが転がってるんですが、信長様の機嫌損ねたらあれを投げてきそうだなあ。


 ん? お市ちゃんは信長様の妹だから上座に座るのは当然として、どうして私も上座に座らされるの?

 えっと、林さんとか村井さんとかお役人さんたち、異教徒が信長様の寵愛を請け負ってからにとかいう嫉妬の炎を灯さないで……。

 私だって辛いんですよ。キャッチャーやらされたり猛将と1打席勝負やらされたり。


「十兵衛、入れ」


 信長様がそう言うと、スラリとした長身イケメン男子が入ってくる。

 十兵衛? おおっ! この人が明智光秀か! 織田家の出世頭で帰蝶様の従兄! んでもって本能寺の人!


「明智十兵衛光秀、ただいま上方の探索から戻りました。情勢としましては将軍家の権威失墜甚だしく……」


「それはもう聞いている。この場の本筋だけ話せ」


 え? 私は聞いてないんだけど⁉

 もう、信長様ったらそういう態度だから部下に不審がられちゃうんだぞ!


「……はっ。浅井家は織田家と同盟することに前向きですが、条件を提示しました。信長様の妹君、お市様を浅井家世継ぎ、賢政殿との縁談を……」


「やだ!」


 今度はお市ちゃんが即答する。

 もう、この兄妹ったら思ったことをすーぐ口にするんだから。


「市、賢政は嫌か?」


「はい、お兄様。私は夫婦になるなら真昼ちゃんがいいです!」


 ブフッ! いきなり何を抜かすんだ、このロリっ娘め!


「であるか」


 お~い、信長様? 納得しないで……。


「市よ。実際に賢政に会った上でもう一度決断せよ。十兵衛、藤吉郎、猿、真昼。市と共に近江に行き、賢政を見極めよ。以上だ」


 わーお。それだけ言って立つんかい信長様。

 しかも2つのボールを私に投げ渡してくるし。


「うっげ。はーあ。お兄様ったら、私に旅をしろなんて、お兄様じゃなかったら処刑を命じますのに」


 お市ちゃんも大概だなあ。

 でも近江までの旅か。ってことは、ボール回収のチャンスもあるってことだよね。


「センイチ、なんか感じる?」


『距離が遠すぎるわ。じゃが、旅すればボールの噂は必然的に耳にするじゃろ』


「ミズハラはなんか感じる? って、やっぱ目覚めないのか」


『敗北したボールは眠りにつく。安心せい、いざという時、ミズハラ監督の能力を引き出せるわい』


 喋るボールがどんどん増えてったら、ウザいと思っていたから丁度いっか。

 でも見分けつかなくなるから墨でミズハラって書いておこっと。


「喋る球体、旅で噂に聞いたがまことであったか」


 光秀さんが驚いた様子で私の目の前に立ってきた。

 そんな彼に、ジジイたちが嫌味を口にしていく。


「光秀よ。織田譜代を差し置いて重要任務を授かっているが図に乗るなよ」


「美濃衆にお市様を任せる殿、一体何をお考えやら」


 そう言って、譜代衆のジジイたちは舌打ちしながら出ていった。

 美濃衆? 私は違うぞ? 真昼衆とでも呼んでくれたまえ!


 光秀さんは何も言い返さず、ただ嘆息した。


「それがしとしては、光秀殿には尾張に残っていただきたいのですがね。ああああああ! 奉行も代官も足りぬううううう! どうしてそれがしの人生、残業祭りなんじゃああああ!」


 ゴツン!


「うっさい吉兵衛。数日、家に帰れぬと思えよ」


 村井さんがストレスMAXで叫び出し、筆頭家老の林さんが拳骨して沈黙させ、ズルズル引きずって出ていく。

 織田家って……運動苦手で戦に出ない頭脳系の人たちにとっても地獄なんだね。

 辛いのは私だけじゃないってわかって勇気出たよ!

 ありがとう村井吉兵衛貞勝さん!

 気絶時間だけゆっくり休んでね!

 

 そんな一幕を挟みつつ、この場に残ったのは旅を命じられたメンバーだ。

 藤吉郎さんも私たちと合流する。


「久しぶりです帰蝶様。いえ、今は木下藤吉郎殿」


「十兵衛様も。ですが、大変なことになりましたね」


「美濃経由で行ったほうが無難だろう。伊勢の農民に絡まれる方が厄介だ」


「ええ、旅路の経路はお任せします」


「はいはいはーい!」


 できる2人で話し合ってるみたいだけど、私にも重要なことがある。


「なんだい? 長谷川殿。いや、信長様の寵姫様と呼んだほうがいいかな?」


 ん? 寵姫? 何を爽やかスマイルで言い放つんだ、このイケメン。


「私とお市ちゃん、藤吉郎さんは女の子です。光秀さんは男です。んでもってお市ちゃんは主君の妹ちゃんで、藤吉郎さんは血の繋がりのある従妹、私の貞操が危ないと思います!」


 大真面目に言う私。これは重要だよ? だって初対面なんだし、私が何を不安に思うか知ってもらいたいからね。


「あっはっは。さっきも言った通りさ。我が君の物を奪う気なんて更々ないさ」


「ちょっと真昼。近江までの旅路の間、私と一緒のお布団に入って警護しなさいよ。それが約目でしょ?」


 でも光秀さんに笑われ、お市ちゃんに袖を引っ張られながら、私は内心で(あれ? やっぱり私の貞操の危機なんじゃね?)と思う結果で終わっちゃう。

 おっかしいなあ。普通、私が安心する展開になるもんじゃない? こういうのって。


『だから小娘よ。ボール集め忘れるんでないわい。まだ残り106個じゃぞ』


 センイチ、うっさいよ。

 

投稿時間0時10分に変更します。

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