第1話:怪しげな放課後
「ベントラ、ベントラ、スペースピープル。ベントラ、ベントラ、スペースピープル。ベントラ、ベントラ、スペースピープル────」
その日も、オカルト研究部(通称:オカ研)は怪しげな活動をしていた。愛知県岡崎市内にあるとある高校の屋上で、彼女は宇宙人を呼ぶ儀式をしていたのだ。夕焼けに染まった校舎の影が、まるで大きな地球外生命体が彼女たちを飲み込むかのように屋上に長く伸びていた。
「うーん、全然来そうにないなぁ…」
オカ研の部長、立花まどかは呟いた。緑髪を三つ編みのお下げにしてまとめ、眼鏡をかけ、制服も着崩さずに規定通りに着る、典型的な真面目女子という見た目だ。
「そうだな。というか、こんな古典的な方法で来るのか?」
スマホを眺めながら呆れているのは、副部長(仮)であり双子の弟・立花怜央である。そしてメンバーは現在、まどかと怜央のみだ。そもそもオカ研は、まどかが発足し、部活として認められるためには2人以上の在籍が必要なため、人数確保に弟の怜央を無理やり副部長として所属させ、オカ研を発足させたのだ。怜央は勝手に名前を書かれ、仕方なく、こうしてまどかの活動にたまに付き合っている。
(あー、昨日思いついたメロ、早く家に帰って打ち込みてぇ…)
怜央は基本帰宅部だが、VOCALOIDを使った楽曲制作が趣味であった。そして、ゆくゆくはボカロPとして成功し、一流アーティストになることを夢見ていた。
「つーかさ、なんで俺なわけ?他のやつ誘えよ。」
「怜央、私の活動について来てくれる人他にいると思う?」
「……いねーな」
「でしょ。友だちはいないこともないけど、みんなアニメとか漫画の話か、恋バナばっかでつまんないもん。ホラー好きな友だちもいるから誘ってみたけど、『部活としてやるのは恥ずかしい』って断られちゃったし。」
「だろうな。俺もそいつの気持ちわかるわ。オカルト研究なら1人で勝手にやってればいいじゃん。結局人も集まってないし、部活としてやる意味ないだろ」
「もー、これから人集まるかもしれないでしょ。それに、1人でやってたら怪しまれるし、こんな堂々と屋上に行って活動もできないじゃん。部活にすれば費用も補助してもらえるし。」
「いや、実際新入部員がここ1年も入ってないんだぞ?俺がいるからいいものの、俺抜けたら廃部だからね」
「大丈夫大丈夫!あと1年くらいはまだあるから!高校卒業するギリギリまでオカ研は続けるつもりだし、それまでに入ってくれて存続してくれればいいの!せめて、OGとして来れるように活動まだ頑張るから、怜央もついて来てよね!」
「本気かよ…」
まだ仮状態です。また編集します