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第35話 はIVめまして

「あなた! ソニアちゃんに何をしたの! ソニアちゃんを返して!」


「何も? むしろ助けてあげた側なんだけど」


「嘘! じゃあなんでソニアちゃんは意識がないの!? まさか、死」


「死んでない死んでない。彼女は悪い奴に襲われて気絶した。俺が助けてあげた。オーケー?」


 心田イデア。ジャック・ヲー・ニンジャの主人公。黒いスーツに銀色の装甲。金属の仮面は音符を模している。ディーヴァの名を冠する『dIVa』の忍者刀の契約者なだけあって、いかにも優美なデザインだ。


「信じられないのも無理はないけどな。ほら、早く病院に連れてってやりな。命に別状はないはずだが、万が一のことがあると困るのはあんただろ?」


「……もしあなたの言ってることが本当なら、ソマリちゃんを助けてくれてありがとう」


「どういたしまして。それじゃあ、またどこかで会おう」


 気絶した川井ソマリを彼女に引き渡し、俺は立ち去る。


「待って!」


「ん?」


「あなたの名前は!?」


 俺の名前か。バカ正直に本名名乗るわけにはいかんからな。でも下手に偽名使うと後でバレた時に拗れそうだし。


「ダイナソーマン」


「え?」


「通りすがりの正義の味方、ダイナソーマン。覚えときな」


 無駄にカッコつけてサムズアップした俺は、そのまま彼女の前から消えた。


「ダイナソーマン……一体何者?」


――


「ダイナソーマンってなんやねん! 素直にニンジャッカー竜星でよかったやろがい!」


 誰もいない路地裏。スーパーニンジャフィールドから現実に帰還した俺は、猛烈に頭を抱える羽目になった。


 咄嗟に名乗ってしまったが、我ながらセンスのない! 前にも思ったけどさあ! 俺ってアドリブに弱すぎだろ!


「はあ。変に凝った名前をひねり出さなくてよかったと前向きに考えよ」


 勢い余って狂竜騎死(ジュラシックナイト)とか名乗ってたら二度と立ち直れなかったかもしれん。


「お帰りディノ。どうした、すごく疲れた顔をして」


「ただいま兄貴。実際すげー疲れてるんだよ。今日は飯食ったらさっさと風呂入って早寝するわ」


「そうか。寝る前にひとつだけ大事な話があるんだが、いいだろうか?」


「大事な話? 何? とうとう親父とお袋が俺を勘当すると決めたとか?」


「いや、そうじゃない。母さんから連絡が来たのは確かだけど」


「お袋が? なんの用?」


「俺の婚約が決まったそうだ」


「へー婚約ね。おめでとさん……婚約!?」


 驚きのあまり脳がフリーズしてしまった。今襲われてたら危なかったな。


「ずいぶん急な話で驚いたよ俺も。それで明後日、母さんがその婚約者を我が家に連れてくるそうなんだ」


「ごめん、フリーズした脳みそオーバーヒートしそう。親父とお袋がそいつを連れて3人で帰国するわけ?」


「いや、母さんと婚約者のふたりだけ。父さんは今仕事でベルギーにいるらしい。善は急げってことで、顔合わせだけでも済ませておきたいんだと」


「ふーん。おめでと兄貴。兄貴も遂に結婚か。二―トの義弟がいてもゆるしてくれる寛大な人だといいな」


「ありがとうディノ。いきなり婚約者だなんて言われても、正直困る。とはいえ父さんと母さんの命令なら、俺に拒否権はないからな」


 もうダメだ。頭がパンクしそう。バイパーの忍者刀、ジャックザリッパーの契約者、心田イデアと川井ソニア、ついでに夢野。


 今日一日で色んなことがありすぎたのに、その上兄貴の婚約者が明後日日本に来るなんて。俺の悪い頭じゃ処理しきれん。


(俺の義姉になる女かあ。どんな奴なんだろ。どうか笛吹サチコレベルの地雷女じゃありませんように)


 兄貴が奥さんに言われて俺を見捨てるようなことはないと思うが、丸め込まれて俺を更生させようとしないとも限らん。


 恋人ができて変わっちまうような男なんて世の中にはごまんといるからなあ。配偶者ともなればなおさらだ。子供なんかできた日には庇護欲の対象が絶対そっちにいくだろう。


 その時俺は家族の一家団らんを邪魔する邪魔者に成り下がる。そうなればおしまいだ。夢野、じゃなかった夢の死ぬまでニート生活はあえなく御破算。サークルクラッシャーならぬブラザークラッシャーめ。


(ゆーて兄貴の婚約者に構ってる暇もないんだよな。俺が5本、夢野、心田、ジャックザリッパーが1本ずつ持ってるから残る忍者刀はあと4本だろ? ジャックザリッパーが複数本持ってる可能性もあるし。うーん)


 いかん、疲れのあまりどっと眠気が。このままでは廊下で倒れてしまいそうだ。


「ディノ? 大丈夫か? おーい」


「ごめん兄貴。俺ダメかも」


「おいディノ!? どうしたディノ!」


 頑張りすぎた俺は過労でそのまま気絶するように眠ってしまった。そのまま翌朝まで眠り続け、心配した兄貴にコッテリ叱られてしまったのは言うまでもない。

ニンジャッカー図鑑

 I-TIME Inferno 赤 煉獄 円城フレア/ニンジャッカー炎星 死刑

 III-TIME boIIIber 黒 爆弾 厚木サチヨ/ニンジャッカー爆星 刺殺

 IV-TIME dIVa 銀色 歌姫 心田イデア/ニンジャッカー音星 轢き逃げ

 V-TIME Voltage 黄色 雷 上石神井アゲハ/ニンジャッカー電星 感電死

 VI-TIME VIper 緑 毒蛇 近藤ムネヒコ/ニンジャッカー毒星 腹上死

 IX-TIME cIXlone 青緑 嵐 夢野メシヤ/ニンジャッカー風星 ?

 X-TIME t-reX 紫 恐竜 竜崎ディノ/ニンジャッカー竜星 隕石直撃?

 XI-TIME jaXTheripper 灰色 切り裂き魔 ?

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