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第11話 暗躍のG

 モンテスキュー・クリス・オーパーツ研究所。いわゆる主人公の秘密基地である。危険なオーパーツを趣味で研究しているマッドサイエンティスト、モンテスキュー・クリス博士が趣味で作った秘密研究所だ。


 秘密研究所のわりには『モンテスキュー・クリス博士の秘密の研究所』なる看板がデカデカと設置されているのは謎だが。おまけにゲーミング発光もするためクリスマスの時期になると近所の子供たちが喜ぶ。


「我が研究所へようこそ。迷える子ヤギたちよ」


 そんな彼女の正体は、何を隠そうサムライバー斬月の黒幕、プロフェサー・Gである。呪われた秘宝・スーパーサムライソードを海外から輸入し秘密裏に日本に持ち込ませた張本人。


 密輸人が木霊ノゾムに襲撃されたせいで刀が彼女の手元に届くことはなかったが、その代わりに斬月ムサシロウという手駒を騙して散らばった刀を集めさせている裏切り者だ。


 プロフェサー・Gの人間性を一言で表すなら『残念な美人』である。間違いなく美女なのだがダボダボの服やボサボサの髪など常に気だるげなダウナー系の見た目がそれらの要素を台無しにしている。


 だがそれがいいという読者も多く、斬月ムサシロウとのおねショタ、或いはオバショタ・インシデントに脳を焼かれた絵師も少なくはないとか。


「君たちに我が新発明を授けよう。その名もウルトラデラックススーパーサムライソードチェンジャー。これを使えば刀を心臓に融合させることなく刀の力を引き出せる優れものだ」


「ありがとう博士! すごいや! これがあればスーパーサムライソードをもっと安全に運用できるんだね!」


「相変わらず胡散臭いが能力だけはある女だな。ありがたく使わせてもらうが」


 モンテスキュー・クリス博士の新発明を受け取り目を輝かせる斬月ムサシロウと、そんな彼の態度に呆れ顔の葉隠ナデシコ。そしてリアクションに困る天雅リン。


 幼い頃から博士の研究所に通いつめ、親友と呼べる仲になった彼は博士に全幅の信頼を寄せている。そんな彼女が実は裏切り者だった、というのはなかなかに衝撃的な展開だろう。


 連載当時は『知ってた』『絶対裏があると睨んでた』『あまりに怪しすぎて逆にミスリード要員だと思ってたら普通に違った』と話題になったほどだ。


 それはさておき天雅リンは無事原作通り斬月ムサシロウに惚れ、彼らの仲間入りを果たした。竜崎ディノも悪役演技を頑張った甲斐があったな。


「さて、君たちが集めた刀は何本だ?」


「えっと、1本だね」


「私は……私もまだ1本だ」


「1本だけです」


「不甲斐ないな」


「ごめん博士。でも……」


 率先して刀を奪いたくない斬月ムサシロウは暗い顔になり、『死んだ家族を生き返らせたい』葉隠ナデシコは集まりが遅いことに苛立ちを露わにする。コロシアイが恐い天雅リンは困った顔だ。


「悪しき者が願いを叶える権利を得てしまったら、この世界は大変なことになるかもしれない。それを避けるためには、我々で先に刀を集めるしかない」


「そうだな。私の家族を生き返らせるという願いを叶えれば、ほかの悪党が願いを叶えることはできなくなるだろう」


「君たちを襲った紫のサムライバーは、天雅リンを殺す気で襲ってきたのだろう? そんな奴が願いを叶える権利を手にしたらと思うと、私は心配だ」


「思い出させないでくださいよ博士」


「大丈夫だよ天雅さん! どんな敵が来ても僕が守るから!」


「斬月くん!」


 目をキラキラさせて頬を赤らめる天雅リンと、その視線の意味に気付かない鈍感坊や。葉隠ナデシコは面白くなさそうにしているが、自分に口出しする権利はないと思いつつも拗ねているのが丸わかりだった。


「若いな。やはり若さに優る必須栄養素はない。そのためにも微力ながら私も君たちに力を貸そう」


 プロフェサー・Gことモンテスキュー・クリス博士は研究所の奥からトランクを引っ張り出してくると、皆の前で勿体ぶってそれを開封した。


「博士!」


「これって!」


「スーパーサムライソード、だと!?」


「左様。スーパーサムライソードを研究するため、私が独自にアンダーグラウンドの闇オークションサイトで買い取った、正真正銘の本物だ。これを君たちにプレゼントする」


「本気なの!?」


「いいんですか!?」


「貴様、一体何を企んでいる?」


「言っただろう。あくまで研究のためだと。危険なオーパーツが街を騒がしているのならば、それを解決するのが我がモンテスキュー・クリス・オーパーツ研究所の使命だ。だが悲しいかな私には戦闘力が皆無でね」


 銀色に輝く『K』の刀と、オレンジ色に輝く『V』の刀。2本の刀を見下ろしながら、彼女はやれやれとため息を吐く。


「君たち若者に代わりに戦ってもらっている以上、そのバックアップやフォローぐらいはしないとバチが当たるだろう?」


「ありがとう博士!」


「頑張れ子供たち。私も微力ながらに力添えをさせてもらえれば幸いだ」


 真顔のまま涼しい顔でサムズアップするモンテスキュー・クリス博士。嘘を吐いて3人に刀を集めさせている立場だが、彼らを応援する気持ちに嘘偽りはないようだ。


 本心から彼らに刀を集めてほしいと思っている。我欲のために。だからこそ協力は惜しまないし、必要とあらば独自に集めた刀を提供することも辞さない。


「さてと。早速だがウルトラデラックススーパーサムライソードチェンジャーのチュートリアルを始めようか。どうやら刀同士には相性が存在するらしい」


「相性、ですか」


「左様。コーヒーにミルクと砂糖を合わせるように、或いは紅茶にレモンと砂糖を組み合わせるように。刀にもそれぞれに相性が存在するようだ」


「わかりやすいのがKの刀だな。どうやらKnightの刀は葉隠少女のJokerの刀と相性がいいようだ。組み合わせて使ってもらいたい」


「わかった。ありがたく頂戴する」


「Voltageの刀は斬月少年が持っているのがいいだろう。天雅少女は戦闘には向かない性格のようだから」


「そう、ですね。なるべく戦いたくはないです」


「それじゃあ、僕がもらうよ!」


(ふむ。それにしても。だ。思ったより使えないな君たち。葉隠少女だけはやる気があるが、学生などこんなものか)


 笑顔の裏でプロフェサー・Gはぼやいた。最初は自分に懐いている斬月ムサシロウを利用して刀を集めさせる予定だったのだが、遅々として刀集めは進まない。


 葉隠ナデシコという協力者を得られたのは予想外の幸運だったが、3人寄っても文殊の知恵には程遠い。


 謎の恐竜男やあの木霊ノゾムも刀を探し回っている現状、そろそろ彼女にも焦りが出てくる頃合いだ。


(いっそ謎の恐竜男を利用するのもひとつの手かもしれんな)


『サムライバル! Gold!』


 彼女の心臓の中で、黄金の刀が妖しく脈打つ。彼女が独自に入手した刀はKとVだけではなかった。研究のため、みずからの心臓を刀に食わせて己を人体実験の材料にするなど彼女の好奇心をもってすれば朝飯前だ。

サムライバー図鑑


 Ace 赤 斬月ムサシロウ/サムライバー斬月

 Butterfly 青 天雅リン/サムライバー花月

 Critical 緑 宝田エル/サムライバー満月

 Fumble 赤 宝田エタ/サムライバー新月

 Gold 黄金 プロフェサー・G/サムライバー望月

 Hunter 緑 木霊ノゾム/サムライバー風月

 Inferno 赤黒 円城フレア/サムライバー炎月

 Joker 黒 葉隠ナデシコ/サムライバー三日月

 Knight 銀色 契約者不明

 Mindcontrol ?

 Nightmare 灰色 密輸人/サムライバー歪月

 Revolution 金色 剣ソウヤ/サムライバー嘘月

 Tempest 黄緑 嵐山キョウスケ/サムライバー嵐月

 Unite 黄色 契約者不明

 Voltage オレンジ 契約者不明

 t-reX 紫 竜崎ディノ/サムライバー竜月

 todaY セピア 木野ギンジ/サムライバー古月

 ZZZ ?

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