『ダイスロールで全てが決まる世界。』
とある高校の3年生、彩乃正は、友人の月見希空と一緒に順風満帆な生活を送っていた……。
多分きっと彼女たちは、まだ知らないだろう。
ここからが悲劇の始まりだと、お終いだと。
……私の名前は、彩乃正。
唯の高3の女子高生。
私はこの世界が大嫌いだ、嫌いで仕方が無い。
どうしてかって?この世界は努力した者を、成したものを、そして正直者が馬鹿を見る世界だから。
この世界は全て『ダイスロール』で決まる。
宝くじに当選するのも、受験に合格するのも、全て。
途中で成した過程で成功確率や判定が緩くなったとして、結局は運だ。
あんな努力してた人が、あんな頭のいい人が、将来有望と言われていた秀才が、唯1つの大失敗で総てを誤ってしまうのが、私は嫌いだ。
「おーい、彩乃、まぁた変なこと考えてるの?」
……私に話しかけてきた友達は月見 希空、小学校の頃からずっと居る、私の大切な大切な親友だ。
「ん、うん、少しだけね」
「せ〜い、ちゃんと賽子は持った?」
「………………うん」
この賽子は、その場に置いてもいつの間にか自分の手に握られている。不思議なことにこの賽子は、人が生まれた時に必ずその人にタグ付けされて死ぬまで一生着いてくるそうだ。
「…………せ〜〜い!!!」
「何!?!」
「最近元気無いじゃん!!どうしたの!?」
「ぁ、えとその、ちょっと悩んでることが……」
「えぇ!?!?あの天才さんが悩むなんて明日は槍でも降ってきそうだね!!まぁ万に一つだろうけッど!!」
希空が賽子を振った。どうやら何かを試すそうだ。
コロコロとひとつの賽子が空中で物理法則を無視して回り、ゆっくり止まっていく。どうやら100面ダイスで槍が降ってくるかどうか試してるらしい。
結果は、54、何も起こらない。
正直ほっとしている、これで100なんて出たらシャレにならない。
「あははは、出なかったね!」
「あ、うん……」
「コラ!!!不用意に使っては行けません!!」
先生が希空を叱った。当然だろう。ダイスロールをするのは自由だが、これで他の生徒に危害を加えたらとんでもないことになる。
「はぁい!!ごめんなさぁい!!」
「はぁ……」
こんなのが毎日続いている。ある意味平和だろう。
先生が教壇につき、全員が机につき話すのを辞めた、先生の雰囲気が異常だから皆よく聞いている。
「皆さん、よく聞いてください」
先生がかしこまった話をしている、不審者情報だろうか、ここら辺は治安が悪いから。
「……最近、どうやら賽子を盗んだまま悪用する人が居るそうです、真夜中は出歩かないように。」
……?賽子の、あく、よう?
教室がざわつき始める。『賽子の悪用』なんて初めて聞いたのだ。
そもそも悪用なんて出来る筈がない。
賽子は己の手を離れないのだから。
「……フードを深く被った男を見たら賽子を隠して逃げるように、いいですね?」
……全員、ザワついたり驚いた顔をしながら、頷いた。
この出来事から、運命が大きく変わり、周りが壊れていく様を、私は、知らない。
初投稿です、序章の序章なので文章量はかなり少なめ。
深堀も何もしていない普通のオープニングですが、よろしくお願いします。
この世界ではこのあとがきを信用しないことをおすすめします。