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第8話 旅立ち


 目が覚めるとカルノットさんの部屋だった。心配そうに村人たちが覗き込んでくる。


「おい、大丈夫か?」


 僕は一体何を……確か……




 さて、可愛い私の操り人形よ、器を探しなさい!




「ッ!? 村の人は! カルノットさんは!?」


 やっと目が覚める。村人たちに聞いてみるも皆沈痛な表情を浮かべている。


「まさか……」

「村人の被害は数人だ。魔族の方は恐らく死んだんだろう。オメが奴のことさ切り付けた後ドロドロに溶けて消えてまったかんな。カルノットは……その後も村人を襲い続けていたさ」


 そんな……クソッ! なんでこうも悪夢のような出来事が続くんだ!


「オメには感謝してるよ。あそこで魔族ば殺せてねがったら俺だちは全滅してただろうさ」

「……いや、僕の力不足です。もっと早く魔族を殺せていれば!」

「しょうがねぇべ。こんな辺鄙な村さ魔族が襲いに来るなんてだぁれも予想してねがっだんだから」


 しょうがない? そんな訳ないだろう!


「それに2日もすりゃ王国から兵士さんが来てくれるってさ。暫くはこの村さ守ってくれるってよ。勇者様も来てくれるっつうから復興も進むべ」

「王国兵が……来るんですか?」

「あ? そんな話だったぞ」


 それはマズイな……王国に追われ、死にかけていたところを助けて貰ったこの人たちに迷惑は掛けられねぇ……居心地のいい素晴らしい村だったな。


「分かりました。僕はこの村を出ないとなりません」

「はぁ!? いきなりなんだってんだ?」

「僕は訳あって王国に追われています。最初に伝えるべきでした。なので皆さんはなにか聞かれたとしても僕の事は知らないって言ってください。じゃないと皆さんに迷惑かけてしまいますから……」


 本当ならここでもっと自由に暮らしたかった。カルノットさんやその他の村人達と楽しく暮らしたかった。

 王国が憎い。この僕を裏切ったギルドが憎い。



 そして何より、僕からこの村を奪った魔族が憎い!!!


「わがっだ。村のモンには伝えておくさ」

「ありがとうございます……ご迷惑ばかりかけて申し訳ないです」

「何言ってだ! オメが来てから村が賑やかになったんだ! それにこの村すぐってくれだのはオメだべ! 胸張って旅に出な! 俺だちは待っでるからの! いざこざば解決したら戻ってこい!」


 あぁ。本当にこの村は……暖かい。


〜〜〜〜〜〜


 それから2日後、予定通り王国兵が到着した。破壊も連れて。


「あーあー、何だこれ。クソみてぇな魔族の匂いがするじゃねぇか! なんだってワタシをこんな所に連れて来たんだ!? オマエ達がワタシを暴れさせてくれるって言ったから来てやったのに! もう魔族も死んでるしワタシの出番ないじゃねぇかぁぁ!」

「荒れてますねぇ」

「あぁ。まぁでも上からの命令だからな」

「なんだぁ!? テメェらワタシにモンクデモアンノカァ!?」


 ったく! ワタシをこんな辺鄙な村まで……ん?


「おい! この村に最近まで誰か来ていなかったか!? 例えば……ハルトリーとか」

「いんや、知らねぇなぁ」

「そうか。……因みにだが、ワタシ達に嘘を付けば国への反抗とみなしオマエたちを処刑する権限がワタシにはある。本当に知らないんだな?」

「あぁ。知らねぇ。こんな村さ来る人間なんて余程の酔狂な人間だけだべ」


 本当の事では無いな。スラムで育ったワタシには分かる。でも嘘をついている訳でもない。なんだコイツ……


「分かった。暫く調査でこの村に残らせてもらう。その間で何かあったら……覚えておけよ」


 釘は刺した。これでも吐かないなら相当だな。まぁいいや。ワタシはただ暴れたいだけだし。それでも、この痕跡を残したのは失敗だったよなァ? 失格勇者ァ!


〜〜〜〜〜〜


 かなり遠くまで来た。流石に王国兵もここまでは追ってこないだろう……いや、国を跨いだとしても追ってくるのが王国兵か。でも今は何がなんでも捕まる訳には行かない。僕はあの……魔族共を根絶やしにしなくてはならないんだ。

 魔族を殺すなら……魔大陸を目指すのが最適だろう。あそこなら魔族しか居ないと言っても過言では無い。何があっても辿り着いて殺してやる。その為にも王国から1番近い街に向かうとするか。そこで旅の準備を進める。よし、今後の方針も決まった。3日もあればたどり着くだろう。王国に1番近い国、この世界で最も商売の盛んな国、アキフリューゼへ!


〜〜〜〜〜〜


 やっと見つけた。見つけましたよ! 褒めて下さい! 私、やっと見つけました! もうこんな所まで来ていたのですね! でもこれでやっと!

アキフリューゼ

王国から最も近い国。最も商業の盛んな国であり、様々な地域、国から物資、人員、その他が揃う国。

中立を貫く姿勢を示しており、いかなる戦争にも手を出さないことを誇示しているが、厳密には王国寄りの立ち位置。

勇者による統治はされていない為、付近の勇者、及び勇者騎士によって治安維持を行っている。

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