2話 勇者とは
勇者とは何か。この世界の命題である。
剣の道を極めし者は勇者となれなかった。一方、スラム街から勇者は生まれた。
勇気あるもの、そう思われたが、3代目は臆病で争いごとを嫌っていた。
他人を慈しむ者、それも違った。4代目が否定した。
15になるとステータスが付与される。それによって将来が決まると言っても過言では無い世界。ステータスの照会の際、勇卵と呼ばれるステータスが発現することがある。そのままの意味であり、勇者の卵となるものたちだ。そこまで珍しいものでもなく、1年で3桁を超える年も少なくない。
この勇卵が孵るかどうかで勇者となるかどうかが決まる。20歳までに孵らなければその殆どは孵ることは無いとされている。
そして、この卵を孵す事が非常に難しい。そのままでは絶対に孵ることは無い。その者に合った訓練を積み、勇者の素質があると唯一神に認められた場合に孵ると言われているが真相は謎。
4代目が生まれた年から3年は豊作期と呼ばれた。毎年のように勇者が生まれたのだ。しかし、その後パタリと覚醒することはなくなっていた。世の学者は勇者飽和説を唱えた。勇者の数が世界の上限に達したのだと。
しかし、今回、8代目として新星が生まれた。そして、魔王復活の兆し。世界は勇者は世界の危機に現れる。そう信じることにした。
これはそんな8代目が魔王復活を阻止すべく、世界中を駆け巡る物語である。