プロローグ
この世界はオズドロブ。勇者と呼ばれるもの達が支配する世界。魔王を討伐した初代勇者、始祖の勇者が作り上げた理想郷。平和の訪れた世界であった。
王都にてこの日、実に30年ぶりの勇者が覚醒した。勇者の名前はハルトリー=グランデルム。能力は剣。始祖の勇者以来初の能力であった。
勇者には土地を与えられその場を統治することが決められていた。魔王は討伐されたものの世に解き放たれた魔物や魔族は未だ人類の驚異となっている。その者達から人類を守る守護者として勇者達は領地を守る。
しかし、既に7名の勇者がこの世界には存在していた。新たな領地を与えたとて、王国の管理も難しくなるだろう。故にハルトリーは別の使命が与えられた。
魔王復活の兆しあり。勇者はそれを阻止せよ。
世界に齎された恐るべき事実。魔王が復活すればまた世界は恐怖に陥るだろう。勇者達は魔王復活を阻止すべく動く必要があった。しかし、7名の勇者はそれぞれの領地の守護で手一杯出会ったのも事実。そこに現れたのが『新星』であった。人々は期待した。新しき勇者に、彼こそが世界を明るく照らす希望となると。
魔大陸、最北部にある魔王城。主なきその城は、しかし一層の闇を孕んでそこに佇む。