70.孤高のヒーロー
75歳。まだ若いやんけ。
俺は、ファンクラブ主催の『献花』に行って来た。
クルマは、倉持が仕事で使っている為、タクシーで駆けつけた。
○月〇日。
孤高のヒーローが死んだ。
そのヒーローは、学生時代見ていた特撮番組のヒーローだ。
その俳優のことだ。
75歳。まだ若いやんけ。
俺は、ファンクラブ主催の『献花』に行って来た。
クルマは、倉持が仕事で使っている為、タクシーで駆けつけた。
何と、タクシードライバーもファンだった。
俺達は、大いに盛り上がった。
翌日、そのタクシードライバーが新聞に載った。
横断歩道を渡る途中で、息絶えたのだ。
そのタクシードライバーは、運転免許証を返納に行く途中に献花会場に寄った。
俺が最後の客だった。
「事故で亡くなった訳やないから」と、落ち込んでいる俺に、所長も横ヤンも花ヤンも倉持も澄子も言ってくれた。
タクシードライバーは、心臓を患っていた。
俺は、倉持に乗せて貰って、通夜の会場に行った。
驚いた。人々が列をなしていた。
孤高のヒーローの献花に訪れた人々だった。
その1人が言った。
「彼は同志です。命がけで献花に来た。彼もまた、『孤高のヒーロー』です。」
記帳台には、記帳の他に、ファンクラブの名簿があった。
俺は、両方にサインした。
ヒーローは死んではいなかった。
俺達と共に『永遠のヒーロー』たらしめた。
帰って、そのことを話すと、「ヒーロー。見せて。」と俺の衣類を剥がし始めた。
『疲労』なら、見せてるんだが・・・。
―完―
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