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ワコ

 ○月〇日。

 俺は、浮気調査を午前中に終えて、病院に行って帰ってきた。

 澄子の店ではなく、俺の家だ。アパートではなく、一軒家だ。借家だが。

「どうやった?」「ああ、タダの風邪や。薬貰って来た。」

 今日、店は定休日だ。朝から片づけをしていたのだろう。子供が出来たら、と淡い期待を込めて、澄子は俺に内緒で所長に空き物件を探して貰っていたのだ。

 昨日、越して来たばかりだが、しっかり『所帯』だ。

 澄子が差し出した、水の入ったコップを受け取り、俺は藤島病院で貰って来た薬を飲んだ。今夜は風邪を理由に『夜のお勤め』は休もう。

「ああ。東京の事件な。コスプレ店支店長誘拐事件、やっぱりダークレインボーは関係して無かった。本店店長への逆恨みで誘拐したらしい。犯人は元店員や。よう『人に恨まれるような人間やなかった』とか、事件の後で言うやろ。まあ、90%の場合は嘘やったり、関係者への気兼ねやったりする。あ、今は忖度って言うんやな。ホンマに恨まれている悪人の場合もあるけど、『逆恨み』の場合もある。そいつの場合は、一緒に『連れション辞め』した奴が、吹かしたんや。で、支店長誘拐して、本店店長に仕返ししようと思ってたらしい。」

「仕返しって?」「まだ、考えてない間に捕まった。ダイナマイト拾って、思いついた、衝動的な犯行や。そのダイナマイトな、しけってたらしいわ。」

「間抜けやナア。仕返しにならへんやん。」「でも、本店店長は支店長の姉でナア、精神的な苦痛を与えることは出来た、って本庄先生は言ってた。弁護引き受けたらしいわ。」

「流石、人情派の先生やな。ところで、なんで辞めさせたん?」

「そいつは、別にクビになった訳やない。ツレに巻き込まれたんや。お人好しやな。代わりに犯行に及んで、あっさり捕まりよった。そやから、本庄先生は、弁護引き受けたんや。」

「ふうん。あ。これ見て。」新しいネグリジェを澄子は見せた。

「ワコちゃんがナア、くれたんや。何かあんたに言うてた?」

「もう届いたかな?って言ってたけど・・・今、くれたって言ってなかったか?」

「買って、くれたんや。一緒に買物に行って。兄ちゃん、喜ぶで、きっと、って言ってた。」

 また、嵌められた、と幸田は思った。そして、今夜だけは『風邪休業』にしてくれ、と神様に祈った。

 ー完ー


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