表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/88

臨時休業

この男は依頼人や。浮気調査は、大抵亭主が浮気して、感づいた女房が相談に来る。この場合は、逆。この男の女房が浮気して、調査を依頼してきた。

 で、浮気現場に踏み込んで、大乱闘。というか、依頼人の牧場冬吉も俺も投げ飛ばされて、怪我をした。


 〇月〇日。

「兄ちゃん、どうしたん?あ。こっちの人も。」と、藤島ワコは、言った。

 ワコと俺は、幼なじみで、ワコは今でも俺の事を「兄ちゃん」と呼ぶ。

 先日、ワコも一時期、その気があったと知ってショックやった。妹みたいに可愛がっていたから、恋心を打ち明けられず今日に至った。俺には今、澄子がいる。

 目移りしている場合やない。

 あ。この男は依頼人や。浮気調査は、大抵亭主が浮気して、感づいた女房が相談に来る。この場合は、逆。この男の女房が浮気して、調査を依頼してきた。

 で、浮気現場に踏み込んで、大乱闘。というか、依頼人の牧場冬吉も俺も投げ飛ばされて、怪我をした。

 やがて、先生がやって来て、「取り敢えず、血止めして、レントゲンやな。CTも取るか?幸田。今日は技師の先生がおるさかい、両方出来るで。」

「そんなら、俺の分と牧場さんの分とお願いします。」俺は事情を話した上で、「ただの怪力女」の、牧場の女房のことを話した。

「で、浮気相手は?」「俺らが伸びてる間に怪力女房と逃げました。」

 先生と俺の会話を聞きながら、包帯巻きながら、ワコがクスクスと笑った。

 器用なやっちゃ。

 病院を出てから、牧場さんに契約書類を渡して、タクシーに乗る前に、興信所に電話した。

「そうか。浮気相手は東京在住やったな。よっしゃ。中津興信所には俺から連絡しとく。傷薬の抗生物質と痛み止めの飲み薬、湿布やな。経費で落せ。それと、今日は直帰してええぞ。後の案件は倉持、花ヤン、横ヤンで振り分けるから。」

 帰宅すると、店を開けずに、澄子が待っていた。

「店は?」「今日は臨時休業。あんた、えらい目に遭ったなあ。プロレスでもやってたんかなあ、その女。」「さあな。」「ちょっとマ、横になっときや。災難は忘れた頃にやってくる、や。」「ああ、能登地震か。」「いや、そっちも大変やけどな。中田さんとこ火事で丸焼けらしいで。」「どこの中田さん?」「大泉元総理の時、官房長官やってた、中田格雪の娘の中田あきこ。火の不始末らしいけどな。全焼や。」

 恋女房の澄子の声が、段々聞こえなくなってきた。薬が効いてきた。俺は幸せもんや。

 ー完ー



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ