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⑦〇〇の憂鬱

 ガチャガチャガチャ

 アラスターは家の扉を開けようとしたが、開かなかった。

 彼は扉の取手をガチャガチャとひっぱたりしているが、多分一般的に家は夜には大体鍵をかけているので当然開くわけがない。(しかし彼は家の鍵を閉めるということを知らない。というか家に鍵がかけられるということ自体を知らない。)


「・・・開かない。なぜだ?」

 それは鍵がかかっているからだ。(しかしアラスターは知らない。)


 アラスターは扉を下から上までじっくりと見たが、どこにでもある家の扉だ。

 

 ガチャガチャガチャ


 彼はもう一度扉をさっきと変わらず開けようとした。

 しかし、開かない。


「扉には魔力の痕跡が無い。どういうことだ?」

 それは鍵がかかっているからだ。(2回目)


「・・・仕方がない。扉を壊す(強制的に開ける)か。」

 アラスターは電話で仲間に開かない(鍵がかかった)扉のことを相談せずに、強行突破することにした。

 彼は連合長に単独の任務を受けたと思っているので、あまり他のメンバーの手は借りたくないのだ。(いや、相談しろ。)


 アラスターは槍に魔力を込め、扉に向けてビュンッと投げた。槍は青い光を放ちながら扉へと飛んでいった。


 ガッキィィイイイイン!


「!?」


 槍と扉が衝突し、耐久力の差で扉が粉々に破壊される(家の壁の一部も)と思ったが。なぜか金属音が響いた。

 アラスターは予想外のことに過剰反応し、後方に飛びながら、扉から離れた。


 カラン

 槍は扉の前に落ちた。

 扉の前には半透明の薄い壁が貼ってあった。


「結界、だと?」

 アラスターは槍を拾い、結界を槍で突いた。壁はコンコンっと鳴った。


「なるほどなるほど。・・・この<来るなんたら>という者は魔法使いなのか。登録されていない魔力を持つ魔法使いということは、違法鍵の持ち主で異界犯罪者の可能性が高いな。」


 アラスターは槍の赤いボタンを押し、さっきよりも多い魔力を込めた。


『魔槍<ラドン>、緊急事態モードON。これより槍専用魔術、<絶対破壊(ミスティルテイン)>を発動します! カウントダウン、5、4、』

 

「<ミスティルテイン(絶対破壊)>!」

『えぇ〜!?』 機械の音声案内が、言う筈のない言葉を言った。

 アラスターは槍の音声案内のカウントダウンを待たずに槍を放った。(彼はカウントダウンの意味を知らない。)


「そうはさせるかぁぁああああああああ!」

 家の中から謎の声がし、突然巨大(約15m)なモササウルス(目だけ可愛い)が現れた。


「『え?」』

 アラスターと槍?は突然現れた怪物に驚き、口をぽかんと開けた。

 

 パクッ!

 衝突直前の槍は怪物の口に入った。

 怪物の口の中でボンッと音がして閉じた口の隙間から黒い煙がしゅぅぅうう〜と、出てきた。


「槍が、食われた?」

 アラスターは目の前状況に飲み込めず、呆然と突っ立ていた。


「なんだこの味?まっず! ぺっ!」

 怪物は槍を吐き出した。

 

『無事生還しました。マジで死ぬかと思いました。』

 

「なんか喋ってる?」

 アラスターは槍に音声が付いていることに今更気づいた。(ミスティルテインの時はただの発動案内で、通常は話さないと思っていた。)


『説明書の2ページにありましたよ?結構大きめの字で書いてありましたよ? 他の字16pxに対して、32pxで「魔導具マニア専用AI No.100<ラドン> 付き」って!」


「えーあい? あれってそう読むんだな。色の藍と思った。」

『やべー、ちょっと頭のネジが外れてるかもしれない人が持ち主になっちゃったよ。これからどうなるの、あていは。』


「おーい、ちょっと2人だけで話すの終わりにしてくれねぇか? こちとら聞きテェことあるんだが。」


「・・・お前も喋るのか。」

『「今更ぁぁあ!?』」


 槍と怪物は同時にアラスターにツッコミを入れた。



「ちょっとちょっと、一体何が起きたの!? なんか外で青い光が見えて、大きな音がしたんだけど!」

 ドンドンドンっと階段を降りる音が家の中からしてきた。扉が内からガチャっと開き、中から少女が出てきた。


「家の中にいろ!桜子! こいつはやばい!」

「え? どゆこと?」


 ビュン!

「え、あ・・・。」

 桜子が周りの状況を見ようとした次の瞬間、目の前に銀髪の青年(アラスター)が、桜子の首筋に槍の刃の部分少し当てた。槍を少しでも動かえば桜子の首が紅く染まるようだ。


『え、アラスターさん?』

 槍も彼の行動に戸惑っていた。

「動くな。」

 アラスターは冷たい氷のような声で言った。


「くっそ、なんつぅーやつだ。」

「怪物、お前も動くな。動いたら、わかるな?」

 怪物は桜子を人質に取られ、身動きができなかった。


「さて、お前は異界犯罪者だな?」

「は?」

『え?』


 アラスターの問いに槍と桜子は意味がわからなかった。


「えーっと、異界犯罪者ってどう言うことですか?」


『異界犯罪者とは鏡面世界<マギア>の違法渡航者達の中の犯罪集団のことです。あていは貴方が<マギア>住人ではないと確信しています。貴方は明らかに、この世界<ナトゥーラ>の住人です。

 アラスターさん、この人は絶対に無罪です。』

 槍は桜子の擁護した。


「・・・異界犯罪者ではなく、違法魔力保持者だとしたら?」

『それは、えーっと。確かに桜子さんは違法魔力保持者ですが、偶然の可能性が高いです。』

「なるほどな。」

『ですから、あていを彼女の首から離してくれませんか? ここは彼女の事情を聞いた方が良いかと思います。』


「さ、桜子もここ最近で起きたことを全て話します!」


 槍と桜子が固唾を飲んでアラスターの顔を見た。

 アラスターはふーっと息を吐き、槍を桜子の指から離した。


「・・・分かった。槍の言う通りにしよう。」


「・・・はぁああ〜。よかったぁあああ〜。」

 桜子は緊張が解けて地面に座り込んだ。


「桜子の危険は消えた、か。」

 怪物はみるみる小さくなっていき、手作りのぬいぐるみに戻っていった。


「さて、俺の名前はアラスターだ。」

「えっと、桜子です。」

「俺様はまだ名前がねぇ。以上。」

 ぬいぐるみは桜子とアラスターの間に割って入った。


『・・・えっと、あていの自己紹介、忘れてません?』


「今母は、用事があって出掛けているので、家の中で話します。」

「それは好都合だ。」

「お前が桜子に何かしたら、一瞬でガブリ、だからな。」


『・・・って、無視されてるーー! あていが一番の功労者なのにーーー!』

「槍は少し黙っていろ。」


『・・・はい、すみません。』

(いきなりカウントダウンなしの魔術を使われ、怪物に食べられ、挙句無視され、・・・本当に今日はなんて最悪の日なんですか。占い番組の占い結果では、堂々と一位の運勢だったのに・・・)

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